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情報セキュリティ3要素(CIA)の機密性・完全性・可用性を解説|新たな4要素も紹介

公開日:
2024/07/31
最終更新日:
2024/07/31
目次

情報セキュリティ3要素(CIA)の機密性・完全性・可用性を解説|新たな4要素も紹介

企業において、情報は最も価値のある資産の一つです。ビジネスの成功は、情報の安全性と信頼性に大きく依存しているといえるでしょう。近年、サイバー攻撃や情報漏洩のリスクが増大する中、情報セキュリティの重要性はますます高まっています。

本記事では、情報セキュリティの基本である3つの要素(機密性、完全性、可用性)に加え、新たに注目される4要素(真正性、信頼性、責任追跡性、否認防止)について詳しく解説します。情報セキュリティ対策を理解し、実践するための参考にしてください。

情報セキュリティの3要素(CIA)とは?

情報セキュリティの3要素とは、組織の情報資産を守るための基本的な柱となるもので、以下の3つの要素の頭文字を取ったものです。

  • 機密性(Confidentiality)
  • 完全性(Integrity)
  • 可用性(Availability)

以下で、それぞれの定義と重要性について詳しく解説します。

機密性(Confidentiality)の定義と重要性

機密性とは、許可された者だけが情報にアクセスできることを保証する特性を指します。情報の機密性が確保されていない場合、情報漏洩や不正アクセスが発生し、企業や個人に対する信頼性が大きく損なわれる可能性があります。特に、個人情報や企業の機密情報が漏洩すると、顧客の信頼を失うだけでなく、法的な責任を問われることもあるでしょう。また、競争相手に重要な情報が渡ることで、競争優位性が失われる恐れもあります。そのため、情報の機密性は、セキュリティ上の基本となる概念といえます。

完全性(Integrity)の定義と重要性

完全性とは、情報が正確であり、生成・保存・伝送のいかなる段階でも改ざんされていない状態を指します。情報の完全性が欠如すると、誤った情報に基づいて意思決定が行われるリスクが高まります。これにより、業務運営や戦略的判断において重大なミスが発生し、企業の信頼性や業績に深刻な影響を及ぼす恐れがあります。さらに、改ざんされた情報が流通すれば、顧客やパートナーとの信頼関係が損なわれるだけでなく、法的な問題にも発展する可能性があります。完全性が確保された情報により、無駄な確認作業や修正作業を減らし、業務の効率化と信頼性を維持することができるのです。

可用性(Availability)の定義と重要性

可用性とは、必要なときに情報にアクセスできることを保証する特性です。情報システムがダウンしたり、必要な情報にアクセスできない状況が発生すると、業務の中断や遅延を引き起こし、企業の生産性が大幅に低下してしまいます。その結果、顧客対応やサービス提供が滞り、顧客満足度や企業の評判に悪影響を与えかねません。情報の可用性を確保することは、企業の業務を円滑に進め、顧客満足度や信頼性の向上につながります。

情報セキュリティ3要素の具体例

情報セキュリティの3要素である「機密性」「完全性」「可用性」は、実際にはどのように実現されるのでしょうか。以下で、それぞれの要素を保持するための具体的な対策を解説します。

機密性を保持するための対策

機密性を維持するためには、許可された者だけが情報にアクセスできるようにする必要があります。そのためには、以下のような対策が有効です。

  1. 暗号化:データを暗号化することで、不正なアクセスがあった場合でも情報の内容を理解できなくします。暗号化は、データの転送時と保存時の両方で行うことが重要です。
  2. アクセス制御:情報へのアクセス権限を厳密に管理します。ユーザーの役職や業務に応じてアクセス権を設定し、情報へのアクセスを必要最小限に抑えます。また、定期的にアクセス権限を見直し、不必要な権限を削除しましょう。
  3. 強固なパスワード:情報にアクセスするためのパスワードは、英数字を含めた推測されにくいものを使用します。さらに、多要素認証(MFA)を導入することで、不正アクセスのリスクを一層軽減できます。

完全性を保持するための対策

情報が正確で改ざんされていないことを保証するためには、厳密なデータ管理と保存が必要です。データの完全性を保持するためには、以下の対策が有効です。

  1. 確実なバックアップ:定期的にデータのバックアップを行い、万が一のデータ損失や改ざんに備えます。自動バックアップ機能を利用することで、バックアップの取り忘れを防げます。
  2. バージョン管理:データの変更履歴を管理することで、どの時点でどのような変更が加えられたかを追跡できます。バージョン管理システムを使用すれば、誤って変更されたデータを元に戻すことが可能です。
  3. 監査ログ:システムの操作履歴を詳細に記録し、異常な操作や不正アクセスを早期に発見します。ログは定期的に監視し、異常が発見された場合は迅速に対応することが重要です。

可用性を保持するための対策

システムやデータが常にアクセス可能であるためには、システムの適切な管理とリスク対策が不可欠です。具体的な対策は、以下のとおりです。

  1. バックアップとリカバリ:定期的なデータのバックアップを実施し、災害発生時には迅速にデータを復旧できる体制を整えておきます。バックアップは異なる場所に保管し、バックアップデータの整合性も定期的に確認しましょう。
  2. 冗長化:システムやネットワークの冗長化を図ることで、一部のシステムに障害が発生した場合でも業務を継続できます。負荷分散やクラスタリングを活用して、システム全体の可用性を高めることが重要です。
  3. 定期メンテナンスとアップデート:システムの定期メンテナンスとソフトウェアのアップデートを行うことで、脆弱性を修正して常に最新の状態を保つことが可能です。

情報セキュリティの新たな4つの要素

現代の複雑化したIT環境では、前述した情報セキュリティの3要素に加え、さらに高度なセキュリティ対策が求められるようになりました。その中で重要視されているのが、真正性、信頼性、責任追跡性、否認防止の4つの要素です。これらは、情報セキュリティをより包括的に捉え、さまざまな脅威に対して強固な防御を構築するために不可欠な要素です。以下で、それぞれの定義と重要性について解説していきます。

真正性の定義と重要性

真正性とは、情報が正当な送信者によって提供され、受信者がその情報を信頼できることを保証する特性を指します。情報が改ざんされていたり、なりすましが行われていたりすると、その情報に基づいた判断や行動を誤る可能性があります。真正性を担保するには、デジタル署名や証明書を用いた認証技術が不可欠です。

さらに、真正性には、情報にアクセスする人や端末が許可された者であることを明確にすることも含まれます。第三者が不正にパスワードなどを取得してアクセスするのを防ぐために、多要素認証などの対策が必要です。

信頼性の定義と重要性

信頼性とは、システムが一貫して期待通りに動作し、故障や障害が発生しても迅速に復旧できる能力を指します。信頼性を確保することで、業務の継続性を維持し、サービスの中断を最小限に抑えることが可能になります。信頼性は、システム設計の段階から冗長性を持たせることや、定期的なメンテナンスと監視を行うことで向上させることができます。また、人的ミスを防ぐためにマニュアルを完備し、従業員に適切な教育を行うことも重要です。

責任追跡性の定義と重要性

責任追跡性とは、システムやデータの操作履歴を詳細に記録し、誰がいつ何を行ったかを追跡できる能力を指します。これは、セキュリティインシデントが発生した際の原因究明や、不正行為の抑止に役立ちます。責任追跡性を確保するためには、ログ管理や監査システムを導入し、定期的にレビューを行うことが必要です。

否認防止の定義と重要性

否認防止とは、情報の送受信や操作が行われた事実を否認できないようにする特性を指します。具体的には、デジタル署名やログ、タイムスタンプなどを利用して、証拠を確実に残します。否認防止を確保することで取引の信頼性が向上し、トラブル発生時にも迅速な解決につながります。

ISOとIECが重視する情報セキュリティ

情報セキュリティの分野では、国際規格に基づくセキュリティ対策が重要視されています。特に、ISO(国際標準化機構)とIEC(国際電気標準会議)は、情報セキュリティ管理に関する規格を制定しており、企業や組織がセキュリティ対策を導入する際の指針となります。以下では、ISO規格とIEC規格の情報セキュリティ要件、および両者の共通点と相違点について詳しく解説します。

ISO規格の情報セキュリティ要件

ISOの情報セキュリティ規格として最も広く知られているのがISO/IEC27001です。この規格は、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の要件を定めており、組織が情報セキュリティリスクを管理し、保護するための枠組みを提供しています。ISO/IEC 27001は、リスクアセスメント、セキュリティポリシーの策定、物理的および技術的なセキュリティ対策の実施を重視しています。

IEC規格の情報セキュリティ要件

IECは、特に工業分野における情報セキュリティに関する規格を提供しています。その中でもIEC62443は、産業オートメーションおよび制御システム(IACS)のセキュリティに特化した規格です。IEC62443は、製造業やエネルギー分野の産業インフラにおけるセキュリティリスクを管理するためのガイドラインを示し、システム開発ライフサイクル全体にセキュリティを組み込むことを重視しています。具体的には、セキュリティレベルの定義、リスク評価、セキュリティ要求事項の策定などが含まれています。

ISOとIECの共通点と相違点

ISOとIECの情報セキュリティ規格は、どちらも組織がセキュリティリスクを管理し、保護するための枠組みを提供する点で共通しています。両者ともリスクアセスメント、セキュリティポリシーの策定、セキュリティ対策の実施を重視し、継続的な改善を求めています。

相違点としては、適用範囲と対象分野が異なることが挙げられます。ISO/IEC 27001は主に企業全体の情報セキュリティマネジメントに焦点を当てており、広範な業種に適用可能な汎用的な規格です。一方、IEC 62443は産業オートメーションおよび制御システムのセキュリティに特化した規格で、特定の技術的要件や産業分野における実践的なガイドラインを提供しています。

企業の情報セキュリティ対策

企業の情報セキュリティはますます重要性を増しており、データの保護とリスク管理は経営戦略の中核となっています。情報漏洩やサイバー攻撃から企業を守るためには、包括的で継続的なセキュリティ対策が必要です。以下では、企業が実施すべき主要な情報セキュリティ対策について解説します。

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の導入

情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)は、企業全体で情報セキュリティを統合的に管理する枠組みです。情報資産の保護とセキュリティリスクの管理を体系的に行い、情報セキュリティの3要素(機密性、完全性、可用性)をバランスよく維持・改善していくことが重要です。ISO/IEC 27001に準拠したISMSの導入は、顧客や取引先からの信頼を得るだけでなく、企業全体の信頼性向上にもつながるでしょう。 

リスクアセスメントとリスク管理

リスクアセスメントは、企業が直面するセキュリティリスクや脆弱性を特定し、その影響と発生確率を分析するプロセスであり、どのリスクが重要かを順位付けすることをもくてきとします。

リスク管理は、特定されたリスクに対して適切な対策を講じるための動的なプロセスです。新たな脅威やビジネス環境の変化に対応して、継続的に見直しと改善を行うことが求められます。定期的にリスクアセスメントとリスク管理を実施し、セキュリティ対策の有効性を評価しましょう。

社内ネットワークのセキュリティ強化

社内ネットワークの脆弱性が突かれると、重要なデータやシステムが危険にさらされます。不正アクセスを防止するためには、ファイアウォールや侵入検知システム(IDS)、侵入防止システム(IPS)などを導入し、セキュリティを強化する必要があります。また、定期的なネットワーク監査を行い、脆弱性を早期に発見して修正することも重要です。

ファイル共有のセキュリティ対策

企業内でのファイル共有は業務効率を向上させる一方で、情報漏洩のリスクも伴います。安全なファイル共有を実現するためには、ファイルの暗号化や厳格なアクセス制御などのセキュリティ対策が不可欠です。

クラウドベースのファイル共有サービスを利用する場合は、サービスプロバイダーのセキュリティ対策を確認し、信頼性の高いサービスを選定しましょう。さらに、ファイル共有に関するポリシーを策定し、全社員に対してセキュリティ意識を高めるための教育を実施することも効果的です。

情報セキュリティのクラウド活用

近年、クラウドサービスの普及により、多くの企業がデータの保管やアプリケーションの運用をクラウドに移行しています。しかし、安全に利用するためには、クラウドセキュリティの強化は欠かせません。以下で、クラウドセキュリティの重要性を解説し、主要なクラウドプロバイダーであるAWSとMicrosoft Azureの情報セキュリティ対策について紹介します。

クラウドセキュリティの重要性

多くの企業は顧客情報、財務データ、知的財産などの重要なデータをクラウド上に保存しています。しかし、クラウドがインターネットに接続されているため、サイバー攻撃の標的になりやすいという現実があります。もしサイバー攻撃などによる情報漏洩が発生した場合、企業にとって甚大な損害となり、企業としての信頼を失うことになりかねません。クラウドセキュリティの強化は、データの保護だけでなく、ビジネスの継続性と信頼の維持にも直結しているといえます。

AWSの情報セキュリティ対策

AWS(Amazon Web Services)は、Amazonが提供するクラウドサービスであり、業界トップシェアを誇ります。AWSのセキュリティ対策は、クラウドインフラのセキュリティを強化し、ユーザーが自社のセキュリティニーズに応じてカスタマイズできるよう設計されています。

AWSはグローバル基準を満たす高いセキュリティレベルを持っており、すべてのデータを自動的に暗号化することで機密性を確保しています。アクセス制御にはAWS Identity and Access Management(IAM)を使用し、セキュリティを一層強化しています。

また、AWSはリアルタイムの脅威検出と迅速な対応を可能にするツールも提供しています。Amazon GuardDutyやAmazon Detectiveを活用することで、不審なアクティビティを即座に検出し、アラートを生成して迅速な対応が可能です。

さらに、AWSは世界中に分散したバックアップサーバーを持っており、自然災害時にも迅速に復旧できることも大きな強みです。

AWSの「責任共有モデル」により、利用者にも適切なセキュリティ対応が求められますが、専門家による24時間のインシデント対応や自動化されたシステムを提供することで、被害を最小限に抑えることができるでしょう。

Microsoft Azureの情報セキュリティ対策

Microsoft Azureは、Microsoft社が運営するクラウドサービスプロバイダーで、強力なセキュリティ対策を提供しています。特にMicrosoft製品との連携がスムーズで、Windows Serverとの高い親和性が特徴です。さらに、AzureはISO27001やNIST CSF、クラウドセキュリティゴールドマークなど、90種類以上のコンプライアンス認証を取得しており、さまざまな産業のニーズに対応できる強みがあります。

Azure Key Vaultを使ったパスワードや暗号化キーの一元管理や、Azure Active Directory(AAD)によるユーザー認証とアクセス管理の統一、さらには多要素認証(MFA)の導入によってデータの機密性と整合性が確保されます。

また、Azure Security Centerを活用することで、クラウド環境全体のセキュリティ状況を可視化できます。リアルタイムでセキュリティの弱点を特定できるので、リスク評価と対策を迅速に講じることが可能です。

Microsoft Azureも「責任共有モデル」を採用しており、利用者はデータやアクセス管理のセキュリティについて責任を持ちます。

まとめ

情報セキュリティは、単なる技術的な課題ではなく、企業全体の信頼性と継続的な成長に直結する重要な要素です。本記事では、情報セキュリティの基本原則から最新の対策までを包括的に解説してきました。特に、CIA(機密性、完全性、可用性)や新たに注目される4要素の重要性、具体的な企業対策、そしてクラウドセキュリティの実践方法などは、今日からでもすぐに役立てることができるでしょう。

セキュリティリスクは日々変化しており、柔軟かつ迅速な対応が求められます。そのためには、常に最新の情報を学び、適応していく取り組みが必要不可欠です。企業全体でセキュリティ意識を高め、より堅牢な情報管理体制を構築していきましょう。

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