その理由の一つがファイルの管理にある。ビジネスにはさまざまな書類が必要であり、大量のドキュメントファイルを確認し、作成し、保管するという業務が日々発生している。クラウドサービスを活用していても同様で、最終的にはドキュメント(ファイル)として管理し、それをベースに業務を遂行している現場も多いはずだ。
クラウドストレージを活用してドキュメントを管理しようという方向性は間違いではない。しかし、単なる情報共有やファイルを保管・交換するだけの「ただのハコ」ではもったいない。ストレージを軸として最先端の技術を応用し、業務の煩雑さを軽減できる、生産性や競争力を向上させられる「パワーのあるクラウドストレージ」が望ましい。
「ファイルフォースは、『ハコ』を『チカラ』に変えるというミッションで、強力なストレージサービス『Fileforce』を展開しています。ハコとして必須の安全性や安定性を保ちつつ、DXの推進を支援し、業務を変革するチカラとして働くサービスです。全ての従業員が使いやすいシンプルさで、低コストのため導入しやすく、格納されたファイルをより良く業務に活用するための情報基盤としての機能を提供します」(アラム氏)
SaaSカオスの解決策 AI技術で効率化する業務とは?
日本でもSaaSの利用が一般的になったが、多くは特定の業務に特化したサービスで、多数のSaaSを組み合わせて利用している。相互の連携がしにくく管理も煩雑な“SaaSカオス”が生まれていると、アラム氏は警鐘を鳴らす。全ての業務をSaaS化しようとすれば、コストが増大し、生産性が低下し、結局のところ収益を悪化させてしまう恐れもある。
アラム氏は、「必須ではあるけれども年に数回しか発生しない業務の場合、結局はデジタル化できないというケースも多いのです。当社のFileforceは、優秀なSaaSと競合するものではなく補完し合う存在で、細かな業務の効率化や生産性の向上を担うオールインワンのデジタルツールと捉えてよいでしょう」と説明する。
Fileforceの利点は、大きく分けて3つある。一つは国内で開発され、国内の基盤で提供されている安全なサービスであるという点だ。ある製造大手の経営者は、設計図面を含む重要なデータを海外に設置されたストレージに保管することをリスクと捉えてFileforceを選んだ。社会情勢の変化とAI技術の発展によって、情報漏えいのリスクは増大しており、どんなに小さなファイル・情報も窃取される恐れがあるという。
2つ目はコストだ。特に中堅・中小企業では、業務の効率化と生産性の向上が重要な経営課題となっている。DXに積極的に投資する期間は過ぎ、現実的に収益を向上させられる取り組みに投資するという経営者が増えている。特にストレージのようなインフラは、シビアに考えられるケースが多い。Fileforceは、確実なストレージインフラとして機能しつつ収益向上に貢献できるサービスだと、アラム氏は述べる。
最後に、AIのような先端技術の応用だ。ドキュメント管理の領域ではAIの活用が一般的になっている。専用のシステムもあるが、煩雑で高コストになるケースも多い。Fileforceは高度なAI技術による新しい仕組みを開発しており、業務を大幅に改善させる機能を手軽に取り入れることが可能だ。
「私たちは『Smart Folder™』という技術を開発しました。このフォルダに格納したファイルは、設定された『スキル』によって分析したり、タグ付けしたり、振り分けたりできます。つまり、これまでは従業員が目でファイルを確認し、手作業で分類していた作業を、AIがスピーディーにミスなく実行してくれるのです」(アラム氏)
電帳法対応業務を自動化 高度なAIが手軽に使える
Smart Folder™で利用できるスキルの第1弾として登場したのが、「電子帳簿保存法対応スキル」だ。電子帳簿保存法(電帳法)対応のために必要なファイル操作をAIが肩代わりして、業務を大幅に自動化できる仕組みだ。
Smart Folder™の電子帳簿保存法対応スキルのイメージ
Fileforceは電帳法に対応するための仕組みをすでに有しており、「日付や金額を範囲指定で検索できる」といった要件を満たせる。しかしそれには、ドキュメントに日付や金額をタグ付けしておかなければならない。もともとFileforceのUIは使いやすさを追求しており、簡単な操作でタグ付けすることは以前から可能だった。しかし、基本的にはヒトがドキュメントの内容を確認し、手作業でタグ付けして、社内のルールに沿ってフォルダに保存する必要があった。
「電子帳簿保存法対応スキルは、AI OCR技術によってドキュメント内の情報を読み取り、分析し、電帳法で管理すべき項目を抽出します。そして、それらのタグを登録し、ユーザーが定めたルールに従ってフォルダに振り分けます。場合によっては、膨大な量の書類を対応させる必要があるため、担当者の増員を検討している企業もあるでしょう。この新しいスキルを活用することで、従業員の業務量はむしろ軽減できるのです」と、セールスエンジニアの勝元健氏は述べる。
会計など特定業務向けのSaaSで電帳法対応機能が追加されるケースは増えているが、会計業務に特化していたり、外部のファイルを扱えなかったりするものも多い。Fileforceは全社での利用に長けた汎用(はんよう)的なストレージサービスであるため、メールでもチャットでも、やりとりしたファイルを直接格納し、電帳法の業務要件を満たすことができる。複数のシステムをインテグレーションする必要もなく、導入も管理も容易というメリットも大きい。
「私たちは、Smart Folder™のスキルを作るために既存の高度なAI技術を研究したり、独自のAIを開発したりしてきました。電帳法対応にもOCRや自然言語解析など複数のAI技術を組み合わせています。相性の問題もあり、精度を高めるために根気よく検証する必要がありました。こうした努力の結晶を手軽に活用できる点が、Fileforceの価値の一つだと考えています」(勝元氏)
直感的なUIで簡単操作 セキュリティ対策機能も搭載
Fileforceは、私たちにとって最も身近なファイルを利用した業務を大幅に改善・改革できるサービスだ。厳格な文書管理をカバーしつつ、高精度な検索をベースに、データの活用を促進する。2023年春には新たにランサムウェア対策機能が盛り込まれるなど、セキュリティ対策の強化も重要な取り組みとしてサービスを強化している。
しかも、上述のAIを含む高度な機能は基本的にWindows上のファイル/フォルダ操作で使える。つまり、ソフトウェアの操作を新たに覚える必要があまりなく、社員教育が不要なほどだ。優れたコストパフォーマンスで、長く続けやすいという点にも注目したい。
「ファイルフォースは、日本企業を支援するサービスであり続けたいと考えています。ハコをチカラにするため、社内の技術力をさらに強化し、全社的にサービス強化に努めていく計画です。ユーザーの声に積極的に耳を傾けて、ニーズに応え、良きビジネスパートナーであることが私たちの目標なのです」(アラム氏)
転載元:https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2312/01/news008.html