社内サーバーの仕組みと構築方法を解説します。データ管理の面やセキュリティの観点から、社内サーバーの導入は企業にとって多くのメリットがあります。運用のポイントや注意点を理解して、安全かつスムーズにサーバー管理ができる環境を構築しましょう。
クラウドストレージFileforceの資料をダウンロードする。
企業サーバーの2つのタイプ
企業サーバーにはオンプレミス型とクラウド(ホスティング)型の2タイプがあります。まずは両者の違いを正しく理解しておきましょう。
社内(オンプレミス)サーバー
社内サーバーは別名オンプレミス型サーバーとも呼ばれ、自社の建物にサーバーマシンとネットワーク環境を設置してファイル共有を可能にするタイプです。オンプレミスは英語で「on-premise」と綴り、自社運用型や自社設置型などと訳されます。
もともと、社内サーバーはこのタイプを指し、自社でサーバー環境を構築・運用する形態が一般的でした。しかし、後述するクラウド型サーバーが登場したことを受けて、「クラウド」と区別するために「オンプレミス」という名称が使われるようになりました。
クラウド(ホスティング)サーバー
クラウド型サーバーはインターネット上に仮想のサーバー環境を構築するタイプで、ホスティング・サーバーとも呼ばれます。
「ホスティング」とは、簡単に言えばインターネットプロバイダの提供するサーバーを借りることを言います。そこに自社の業務データやウェブサイトのデータなどを預けることで、ファイルサーバーとして利用したり、顧客がウェブサイトを閲覧できたりするわけです。
ただし、ファイルサーバーの場合はインターネットプロバイダではなく、専門のベンダー(提供会社)が構築したサーバー環境をレンタルするケースが一般的です。インターネット接続環境さえあれば、場所を選ばずサーバーにアクセスできるため、オフィス以外の場所にいても必要なデータにアクセスできるメリットがあります。
社内サーバーとクラウドサーバーの違い
社内サーバーは自社でサーバー環境を構築するため、専用のマシンやソフトウェアの購入、ネットワーク機器の設置など、導入にあたって多くの費用負担が必要です。大規模なファイル共有環境を構築するためには、数百万円以上の投資が必要になるケースも珍しくありません。
それに対して、クラウド型はサービスベンダーが提供するサーバー環境を利用するため、導入コストが安く、契約後にすぐ利用できるのが特徴です。障害が起こった際の対応や定期的なメンテナンスもベンダーが行ってくれるため、自社にサーバー管理者がいなくても問題なく運用できます。
一見、クラウド型の方が良いように感じられますが、セキュリティの問題やカスタマイズ性を考えると、社内でサーバーを運用した方がコストパフォーマンスが良い企業もあるでしょう。社内サーバーのクラウド化に関しては後述します。
主な社内サーバーの種類
社内サーバーの種類も知っておきましょう。一言で「サーバー」と言っても、大きく分けて次の4種類があります。
- ウェブサーバー
- メールサーバー
- DNSサーバー
- データベースサーバー
それぞれ解説していきます。
ウェブサーバー
ウェブサイト(ホームページ)を管理するためのサーバーです。単に「サーバー」と言われたときに、多くの人がイメージするのがウェブサーバーでしょう。
ホームページの基本構造が書かれたHTMLファイルをはじめ、構成・デザインを調整するためのCSSファイル、サイトに動きをつけるためのJavaScriptが書かれたファイルなどが格納されています。
ホスティングサーバーを利用してウェブページを公開している企業もありますが、大企業になると自社でウェブサーバーを構築・運用しているところも多いです。
メールサーバー
メールを送受信するためのサーバーの総称です。送信用のSMTPサーバーと受信用のPOP3サーバーに分かれており、さらに後述するDNSサーバーも必要となります。
メールを送信すると、まず自社のSMTPサーバーが受け取り、DNSサーバーに送信先のIPアドレスの割り出しを依頼します。そしてDNSサーバーが割り出したアドレスをもとに、相手先のSMTPサーバーに送ります。
相手側では、SMTPサーバーに来たメールをPOP3サーバーが受け取り、各メールボックスに送ることでメールを確認できます。単にメールの送受信を行うだけでも、複数のサーバーが関わっているのです。
既存のメール配信システムを利用している企業も多いです。しかし、機密情報を顧客や取引先にメールで配信することも多いため、自社でメールサーバーを運用している企業も少なくありません。
DNSサーバー
DNS(Domain Name System)サーバーは、IPアドレスとドメイン名を変換するサーバーのことです。IPアドレスはインターネットに接続している機器に割り当てられる固有の番号のことで、長い数字の羅列で表されます。これを英数字で表現されるドメイン名に翻訳するのがDNSサーバーの役割です。
DNSサーバーが数字の羅列であるIPアドレスから、人間でも覚えやすいドメイン名に変換してくれることで、該当するサーバーを識別しやすくなります。その結果、ブラウザにURLを入力してウェブサイトを閲覧したり、特定の相手にメールを送ったりできるのです。
DNSサーバーを自社で構築・運用する企業もありますが、高度な専門知識が必要です。そのためウェブサーバーを多数運用している企業でもなければホスティングで問題ないでしょう。
データベースサーバー
データベースサーバーとは、DBMS(DataBase Management System)と呼ばれるデータベース管理のための専用ソフトウェアが搭載されたサーバーのことです。クライアントからリクエストを受けてデータを検索し、求められた情報を返す役割をもっています。
膨大なデータを扱う企業の場合、実際にデータが格納されているストレージと、それを検索・抽出して利用するためのデータベース管理システムが別になっていることが少なくありません。ユーザーはデータベース管理システムのおかげで、大量のデータの中から必要な情報を素早く集めて利用できるようになります。
社内の機密データを扱うことも多いため、データベースに関連するサーバーはオンプレミスで管理している企業が多いです。
社内サーバーのメリット
続いて、社内でサーバーを管理するメリットを具体的に挙げてみます。
カスタマイズ性の高さ
自社の環境に応じて自由にカスタマイズできるのが、社内サーバーの最も大きなメリットです。
クラウド型サーバーの場合、ベンダーの設定したシステムを利用することになるため、カスタマイズできる範囲が限られてしまいます。特に共用サーバーの場合、他の利用者の状況によって、自社のサーバー環境が影響を受けてしまうケースもあるでしょう。
オンプレミスならば、自社のニーズにしたがって自由に設定やカスタマイズをすることができ、他のシステムと連携させるなど特殊な使い方をする場合でも、柔軟に対応できます。
セキュリティ
社内サーバーは自社のネットワークでのみ運用されるため、クラウド型に比べて強固なセキュリティを構築することが可能です。場合によっては、外部との通信を一切行わないようにできるので、不正アクセスやサイバー攻撃から重要なデータを守りやすくなります。
事実、機密性の低いデータに関してはクラウドサービスを使って共有していても、顧客情報など、外部に絶対に漏らすことのできない機密性の高いデータに関しては、オンプレミス型のサーバー環境で管理している企業は少なくありません。
社内システムとの連携
同じ社内ネットワークにある別のシステムと容易に連携できるのも、オンプレミス型サーバーのメリットです。
とくにシステム間で頻繁にデータをやり取りする場合、インターネット経由でデータの送受信を行うクラウド型では、通信に時間が掛かったりセキュリティ上の問題が生じたりする可能性があります。一方、オンプレミス型サーバーならば、社内ネットワークのみで通信が完結するため、複雑なデータのやり取りもスムーズにできます。
クラウドストレージFileforceの資料をダウンロードする。
社内サーバーのデメリット
このように、社内サーバーの運用にはさまざまなメリットがありますが、次のようなデメリットもあるので注意が必要です。
運用・管理コストが掛かる
すでに説明したように、社内でサーバーを構築・運用するには相応のコストが掛かります。
導入の際には高額なサーバーマシンやソフトウェアの購入、ネットワークの構築に掛かるコストなどを負担する必要があります。それに加えて、メンテナンスやソフトウェアのアップデートといった保守運用に掛かる費用も考えなければいけません。
とくに大規模なサーバー環境を構築・運用するとなると、専門知識を有する人材が必要になります。企業によっては新たに雇用する必要があるかもしれません。システム障害が起こった場合に、迅速に対応するためのサポート体制の構築も求められるはずです。
サーバー構築に掛かる期間が長い
新しくサーバー環境を構築する必要のあるオンプレミス型サーバーは、要件の定義・設定からネットワークの構築、テストの実施など、本格的にサーバーを運用し始めるまでに非常に時間が掛かるのが特徴です。
とくに複数の部署や部門の要望を聞き、それに合わせて最適なネットワーク環境を構築するとなると、数カ月~半年以上の時間が掛かるケースも珍しくありません。事前にしっかりと導入スケジュールを決めておき、日常業務に支障が出ないよう計画的に行う必要があります。
社内サーバーのクラウド化をすべきか
では、ここまでの内容を踏まえて、社内サーバーをクラウド化すべきかどうかを考えてみましょう。
結論を言えば、自社の環境によって適したタイプは違うため、一概に結論付けることはできません。ただし、近年は導入のしやすさからクラウド型のサーバーを導入する企業が増えています。
クラウド化する企業も増えている
総務省が2022年に実施した「通信利用動向調査」をみると、日本全国にある約2,400社の企業の中で、約72%がクラウドサービスを導入しており、そのうち64%がクラウド環境でファイルの保管やデータの共有を行っています。
調査の回数を経るにしたがってクラウド化を進める企業が増えているのが現状で、特に資本金の多い大企業ほどクラウドサービスを導入するケースが目立ちます。セキュリティ上の懸念から、社内でサーバーを構築・運用する傾向の強い大企業も、ここ数年はサーバー環境をクラウド化する企業が増えています。
※出典:総務省「令和4年 通信利用動向調査」
クラウドサーバーのメリットとは
クラウドサーバーのメリットは、オンプレミスよりも圧倒的に導入費用が安く、保守運用の手間とコストがかからないことです。さらにインターネット環境さえあれば場所を選ばずアクセスできるため、社外で必要な情報を確認したり、リアルタイムでサーバーにある情報を更新したりするのに便利です。
事実、上記「通信利用動向調査」でも、多くの企業がクラウドサービスを利用する理由として、資産や保守体制を社内にもつ必要がないことや、場所や機器を選ばずに利用できる点を挙げています。とくにクラウドサーバーは災害時のバックアップ先としても人気のようです。
最近ではセキュリティの強固な法人向けクラウドサービスが続々登場しているため、オンプレミスでサーバー運用を行ってきた企業も、この機会にクラウドに移行しても良いでしょう。
社内サーバーにおすすめの「Fileforce」
最後に、社内サーバーとしてもおすすめの法人向けストレージサービス「Fileforce」を紹介します。高いセキュリティと豊富な管理機能をもっており、ビジネス規模にかかわらず柔軟な運用が可能です。
全体的なファイル管理が可能
既存のファイル管理体制を踏襲して、スムーズにクラウド環境でのファイル管理に移行できます。また、同時編集ができない非同期型ですがセキュリティや管理性が高いのが Fileforceの大きな特長です。
ストレージは組織全体で共有され、フォルダの構造や各フォルダのアクセス権限などを一元的に管理できるため、複数の部署や部門、あるいはプロジェクトごとに厳格でセキュアなファイル共有環境を構築できます。
通信はSSL/TLSによって暗号化され、すべてのデータも最高水準の強度をもつAES256で暗号化されるため、機密データも安心して共有が可能です。データの暗号化・複合化は自動で行われるため、ユーザーの手間になることはありません。
実際のサービスを体験できる
Fileforceは導入を前提として、検証用のアカウントサービスで実際のサービスを体験できます。スタートアップ企業から大企業まで幅広く利用できるので、この機会に使い勝手を確認してみると良いでしょう。詳しくはサービスベンダーにお問い合わせください。
クラウドストレージFileforceの資料をダウンロードする。
まとめ
企業サーバーの2つのタイプ(オンプレミスとクラウド)と社内サーバーの種類 、そして自社でサーバーを運用するメリットとデメリットを解説しました。サーバーには大きく分けてオンプレミス型とクラウド型があり、それぞれに特徴があります。これからサーバーを導入する場合は、自社の環境に合った方を慎重に選択しましょう。
特に社内サーバーを導入する場合は、実際に利用できるまで長い時間がかかります。事前に導入のスケジュールを決めておき、業務に支障が出ないように注意が必要です。
顧客情報など機密性の高いファイルは社内で管理し、チームで日常的にやり取りするファイルはクラウドで管理するといったように、データの性質によってオンプレミスとクラウドを使い分ける方法もあります。