ファイルサーバーのデータをバックアップする重要性と、データの保存先、具体的なバックアップの方法を解説します。現在、ファイルサーバーに業務データを保存している企業や、今後ファイル管理用のサーバーを導入する予定の企業の方は参考にしてください。
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ファイルサーバーをバックアップしておくことの重要性
ファイルサーバーとは主に企業が業務で使用するファイルを保存・共有するためのサーバーのことです。
必要なデータを一元管理できるため業務効率の向上に寄与しますが、サーバーにトラブルや不具合が起こった場合、大切なデータが使えなくなったり消えてしまったりするリスクがあります。そのため、定期的にデータのバックアップを取ることが推奨されます。
そもそもバックアップとは?
データのバックアップとは、電子データを保存しているサーバーやパソコン、スマホなどのデバイスが壊れた場合や、データが破損した場合に備えて、別の場所にも同じデータを残しておくことです。
例えば、ファイルサーバーに保存している業務データとまったく同じものをクラウドストレージなどに保存しておけば、サーバーにトラブルが発生してデータが使えなくなった場合にも、ストレージから簡単にデータの復元が可能です。
(※クラウドストレージとは、インターネット上に仮想のデータ保存領域を用意したもので、オンラインストレージとも呼ばれる)
業務関連データにバックアップが必要な理由
企業にとって業務関連のデータは貴重な無形資産であり、日々の業務運営に欠かせないものです。しかし、サーバーの障害や外部からの不正アクセス、マルウェアの感染などのセキュリティ上のトラブルや、人的ミスによってもデータが失われてしまう可能性があります。
どれほどセキュリティを強化して、データの取り扱いに関するガイドラインを設けていても、予期せぬ出来事でデータが破損したり消失してしまったりするリスクはゼロではありません。
そこで同じデータを別の場所にも保管しておくことで、万が一、問題が起こった場合にも素早くデータを利用できる環境にしておくことが重要です。
バックアップデータの保存先は?
では、ファイルサーバーのバックアップデータの保存先はどこにすべきでしょうか?バックアップ先としては、大きく分けて次の3つが考えられます。
- 磁気テープへのバックアップ
- ディスクへのバックアップ
- クラウドへのバックアップ
それぞれ説明していきます。
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磁気テープへのバックアップ
磁気テープを用いてデータのバックアップを取ることが可能です。テープへの記録と言えばVHSを想像する人が多いですが、LTO(Linear Tape-Open)と呼ばれるコンピューターのためのデータ保存磁気テープ技術が存在しており、長期間にわたってデータの保存が可能な安定感のある記録メディアとして知られています。
テープへの保存は相応の費用がかかり、設置場所も考慮する必要があるものの、大容量のデータを安全に保管するのに適しています。
ディスクへのバックアップ
外部のハードディスクにデータをバックアップする方法です。日頃パソコンを使っている人ならば、なじみのある方法でしょう。外付けのHDDやNAS(Network Attached Storage)と呼ばれるネットワークタイプのHDDが有名です。
比較的低コストで導入でき、ファイルサーバーに障害が発生した場合も素早くバックアップデータを活用できます。ただし、サーバーと同じネットワークにハードディスクがあった場合、災害の影響で同時に使用不能になったりウイルスの影響を受けてしまったりする可能性があります。
クラウドへのバックアップ
ファイルサーバーのデータをインターネット経由で遠隔地にあるデータセンターにバックアップしておく方法です。ほとんどの場合、クラウドストレージ(オンラインストレージ)として提供しているベンダー(提供会社)のサービスを利用します。
自社でバックアップ用のサーバーやハードディスクを用意するよりも安価に導入でき、災害発生時にもデータの被災リスクはほぼありません。保存するデータ量の増減に合わせて柔軟にサービスの変更が可能ですが、一度に大容量のデータのバックアップする場合には、かなりの時間がかかってしまいます。
ファイルサーバーをバックアップするときのポイント
次に、ファイルサーバーにあるデータをバックアップする際のポイントを解説します。
バックアップの頻度はどの位が適切?
バックアップは1度取れば良いわけではなく、定期的にデータの更新が必要になります。たとえバックアップデータがあっても、古くて現在の業務に使えないのでは意味がありません。取ってもそれほど時間はかからないことが多いです。具体的なバックアップの方法(種類)は後ほど紹介します。
バックアップを取るタイミングは企業によって違いますが、日頃どれだけ鮮度の高いデータを必要としているかによって決まるのが普通です。具体的に何日前のデータならば、バックアップとして機能するのかを考えましょう。
鮮度が求められるデータとそうではないデータを振り分け、それぞれ更新頻度を決めておくと良いです。必要なデータのみであれば、頻繁にバックアップを述します。
バックアップの世代管理
バックアップデータは世代管理することも重要です。世代管理とは最新の時点にデータを復元できるようにするだけでなく、さらにその前の状態にも復元できるように、段階に分けてバックアップを取っておく方法です。
ファイルサーバーの場合は1週間を6世代(あるいは1カ月を30世代)と考えることが多く、前日のデータのバックアップに加えて、2~4日前のデータ(3世代ぐらい)まで残しておけば、データに問題が起こった場合も柔軟に対応できるでしょう。
当然、日数と世代の定義は企業によって異なりますから、自社の業務運営にとって最適な世代管理を行いましょう。
バックアップの種類
最後に、ファイルサーバーのバックアップの具体的な方法を説明しておきます。種類としては次の3つがあり、必要に応じて使い分けることが重要です。
- フルバックアップ
- 差分バックアップ
- 増分バックアップ
いずれの方法も一長一短あるため、うまく組み合わせてデータの効率的な保全を図る必要があります。それぞれみていきましょう。
対象データを全て保存する「フルバックアップ」
対象となる業務データを全てバックアップする方法です。たとえファイルサーバー内の全データが使用できなくなっても、バックアップから全て復元ができます。
ただし、バックアップに時間がかかるだけでなく、サーバーにも負荷がかかりやすいので、バックアップ中の業務運営に支障が出る可能性もあります。必ず一度は必要になる作業ですが、後述する方法に比べると実施頻度は低くなるでしょう。
フルバックアップからの変更分を保存「差分バックアップ」
フルバックアップを実施した後、そのデータを起点として変更されたファイルやフォルダだけを保存する方法です。データを復元する際には初回のフルデータと差分データの2つを合わせれば良いので、毎回フルバックアップを取るよりも処理が簡単なのがメリットです。
ただし、常に最初のフルバックアップデータを基にしているため、回数を重ねると徐々に差分のデータ量が多くなり、バックアップ時間が長くなってしまいます。
前回バックアップからの変更分を保存「増分バックアップ」
初回に行ったフルバックアップから変更のあったファイルを毎回バックアップする差分バックアップに対して、増分バックアップは前回のバックアップからの変更分を保存する方法です。
毎回のバックアップ量を減らすことができるのでスムーズな処理が可能ですが、データの復元時には複数のデータを合わせる必要が出てくるため、作業が複雑になってしまうデメリットがあります。
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まとめ
ファイルサーバーのデータをバックアップすることの重要性について解説しました。
データを1カ所に保存しておくだけでは、不正アクセスや障害などが発生した際に重要な業務関連情報が消失してしまう恐れがあります。重要なデータは必ずバックアップを取っておきましょう。
保存先としては磁気テープやハードディスクなどいろいろありますが、最近ではクラウドストレージサービスを利用してバックアップを取っている企業が多いようです。それぞれメリット・デメリットがあるので、自社のビジネス環境に合った保存先とバックアップ方法の組み合わせを選択しましょう。