クラウドファイルストレージとは、ネット上にデータを保管できるサービスです。大容量のデータを管理したい企業や、テレワークの導入を検討している企業に向いています。メリットや注意点を解説し、おすすめのサービスを紹介します。
そもそもクラウドファイルストレージとは?
IT分野の発展により、さまざまなクラウドサービスが誕生しています。クラウドファイルストレージは、企業のデータ管理を強力にサポートするITツールです。
クラウド上にデータを保存できるサービス
クラウドファイルストレージとは、クラウド上でデータを保存・共有できるサービスです。クラウドストレージと呼ばれます。
PC内のハードディスクやUSBメモリといった物理記憶媒体ではなく、インターネット回線を通してオンライン上にデータを保存可能な点が特徴です。
場所や時間を問わず、どこからでも好きなタイミングでアクセスできます。PC・スマホ・タブレットなど、さまざまな端末から利用可能な点もメリットです。
データ管理のしやすさや使い勝手の良さから、クラウドファイルストレージサービスを導入する企業が近年増加しています。
クラウドストレージの代表的な3種類
クラウドストレージの主な種類には、オブジェクトストレージ・ブロックストレージ・ファイルストレージの三つがあります。それぞれの特徴や異なる点を確認しましょう。
オブジェクト単位で記憶するデータストレージ
従来型のファイル・ブロック単位でデータを記憶するストレージと異なり、「オブジェクト」と呼ばれる単位でデータを記憶するストレージがオブジェクトストレージです。
ファイルストレージのようなフォルダ構造がなく、格納場所へフラットに保存できるため、データの取り出し・移動・コピーをより容易に実行できます。
データ量の増加に対して柔軟に対応可能な点も魅力です。更新や書き換えの少ない大容量のデータを保管したい場合に向いています。
インフラのクラウド化や保有データの大容量化が進む昨今の企業ITにおいて、従来タイプのストレージに代わるツールとして注目を集めています。
ブロック単位に分散するストレージ
物理媒体の記憶領域を「ボリューム」と呼ばれる単位で区切り、さらにその内部を「ブロック」と呼ばれる単位で分解し、データを保存するストレージがブロックストレージです。
ボリュームとブロックにはそれぞれ固有の番号が割り振られており、データにアクセスする際はそれぞれの固有番号を指定します。
ファイルストレージのような階層構造を必要としない上、アクセスするデータのパスを同時に複数指定できるため、大量のデータを高速処理可能な点がメリットです。
ブロックストレージは、頻繁にデータを読み書きするデータベースとしての利用に向いています。
ファイル単位に保存や管理するストレージ
フォルダ構造やディレクトリ構造で構築された記憶領域へ、データを階層的に保存するタイプのストレージです。
macOSやWindowsなどの一般的なOSで汎用的に採用されている形式であるため、直感的に操作できるでしょう。特別な知識がなくても、組織全体で使用できます。
古くから存在する形式であることから、データ保護に関する技術が発達していることも特徴です。CIFSやNFSなどの通信規格を使用すれば、ネットワーク越しでも利用できます。
企業内でのプロジェクト単位や部門単位など、部分的に導入できるサービスがあることも魅力です。クラウドストレージを初めて導入する企業に適しています。
クラウドファイルストレージを使うメリット
データを保存する環境が整っていない企業や、既に自社サーバーを導入している企業にとって、クラウドファイルストレージの利用はさまざまなメリットをもたらします。
自社の現状と照らし合わせながら以下に挙げるメリットを確認し、導入を検討する際の参考にしましょう。
ファイルを一括で管理できる
クラウドファイルストレージはネット上に存在するため、ネット回線につながっている端末であれば、社内外を問わずどこからでもアクセスできます。
ストレージ内のファイルは簡単に共有化できることから、複数の端末からファイルを一括管理できることもメリットです。
ファイルはフォルダ・ディレクトリ階層形式で管理できるため、直感的に操作できます。フォルダごとに分類しておけば、目的のファイルを探しやすくなるでしょう。
ファイル名の付け方にルールを定めておくことで、ファイルを開かなくてもどのような中身なのかが判別できるようになります。
バックアップを取ることができる
クラウドファイルストレージサービスでは、保存データを外部の脅威から保護するために、一定レベルのセキュリティ対策を講じていることが一般的です。
しかし、不正アクセスやウイルスなどの脅威は日々進化し続けており、セキュリティだけではデータを完全に保護できません。
保存データに万が一の事態が発生したケースに備えて、多くのクラウドファイルストレージでは自動パックアップ機能を標準搭載しています。
ローカル保存しているデータもストレージに移動させておけば、自然災害などの影響で端末が故障したような場合でも、データ消失のリスクを低減できるでしょう。
ストレージ容量の拡張ができる
自社サーバーを導入しているケースでは、データが増えて容量が足りなくなった場合、サーバーの容量拡張に膨大なコストを必要とするのが一般的です。
拡張作業にはある程度の時間が掛かるため、即座に容量を増やすことも難しいでしょう。データを移行する作業にも手間が発生します。
しかし、クラウドファイルストレージは即座に容量を拡張が可能です。拡張したい分だけスペースを増やせるため、無駄なコストも発生しません。
将来的に容量を拡張する可能性がある場合でも、少量のストレージから手軽に始められます。既に膨大なデータ量があるなら、容量無制限サービスも選択可能です。
サーバーを保守管理する必要がない
自社にサーバーを設置している企業では、サーバーのメンテナンスを行う担当者がいなければなりません。
企業内に適任者がいなければ、外部にメンテナンスを依頼することになり、コストが発生します。
一方、クラウドファイルストレージのメンテナンスはサービス提供事業者が実施するため、自社で保守管理する必要がありません。
専門のシステム担当者に向いた人材がいない企業でも、高性能のストレージ環境を構築できます。
いつでも復元が可能
クラウドファイルストレージサービスによっては、保存データが自動バックアップされます。操作ミスでストレージ内のデータを消去してしまっても、即座にデータを呼び出すことが可能です。
一方、ローカル端末のみでパックアップを取ろうとすると、小まめにバックアップ操作を行う必要があるため、業務効率を落としてしまいます。
頻繁にバックアップを取っていても、常に最新のデータを復元できるとは限りません。しかし、クラウドファイルストレージなら、消失直前の状態でデータを復元できます。
リモートワークやテレワークに適している
国が推奨する働き方改革の影響や、自然災害時に業務が停止するリスクへの備えから、リモートワークやテレワークを導入する企業が増えています。
時間や場所を限定せずに利用できるクラウドファイルストレージは、社外で働くリモートワークやテレワークに適したツールです。
自宅や外出先など作業慣れしていない環境からでも、操作性に優れたクラウドファイルストレージなら、効率を落とさずに作業できるでしょう。
セキュリティの高さやコストパフォーマンスの良さ、優れたメンテナンス性も、リモートワークやテレワークに向いている要素の一つです。
コストを抑えて導入できる
クラウドファイルストレージサービスの導入は、自社サーバーの導入よりコストを抑えやすいことが魅力です。
導入開始後1カ月間は無料で利用できるなど、お試し期間を設けているサービスも多いため、使い勝手を比較しながら本格的に導入するサービスを選べます。
クラウドファイルストレージサービスの費用は、ユーザー数に比例して高くなるのが一般的です。
企業規模に合わないプランを選択すると、無駄な費用が発生しかねません。ストレージ環境を利用する人数をきちんと把握した上で、が最適なプランの選択が重要です。
クラウドファイルストレージを導入時の注意点
クラウドファイルストレージは多くの事業者が提供しているため、どれを選んだら良いのか迷うこともあるでしょう。自社に合ったサービスを選ぶポイントを紹介します。
充分な量のデータをバックアップできるか
企業が日常的にやり取りするデータの種類は多岐に渡り、時代の流れとともに大容量化が進んでいます。
クラウドファイルストレージサービスを選ぶ際は、自社が取り扱うデータ量を充分にバックアップできるか、容量の確認が大事です。
導入前に各端末のデータ量やハードディスク容量などを洗い出し、将来的に電子化したい資料や増える可能性があるデータ量なども、可能な限り割り出しておきましょう。
容量が足りなくなっても拡張はできますが、最初から自社に適した容量のサービスを選んでおく方が、コストを抑えられる可能性は高くなります。
セキュリティ対策
暗号化機能やウイルスチェック機能など、セキュリティ対策にどれだけ力を入れているかという点も、サービスを選ぶ上で重要なポイントです。
データ消失や情報漏えいなどのセキュリティリスクに対し、優れたテクノロジーによる多彩な機能が備わっていれば、安心して利用し続けられます。
暗号化・ウイルスチェック・IPアドレス制限・サブドメイン運用・PDF透かしといった機能があると、外部の脅威に対する不安をより低減できます。
ストレージや通信回線のセキュリティだけでなく、データセンター・アプリケーション・モバイルに関するセキュリティの充実度もチェックしましょう。
どれくらいの費用が掛かるか
クラウドファイルストレージサービスの費用は、ユーザー数や容量に応じて、月額や年額で料金を支払う形になります。
一般的な料金体系は、アカウント数に応じて課金されるタイプと、使用した分に応じて課金されるタイプの2種類です。
少人数で使用する場合は、料金が比較的安いアカウント数課金が適しています。通常の使用頻度が低いケースでは、従量課金タイプの選択がおすすめです。
いずれにしても、ランニングコストとして計上する必要があるため、予算との兼ね合いを考慮して慎重に選びましょう。
おすすめのクラウドファイルストレージ
どのような企業でも導入しやすい、おすすめのストレージサービスを紹介します。選定のポイントをしっかりと把握しておきましょう。
セキュリティ対策が万全な『fileforce』
大容量のデータをクラウド上で一元管理できるファイルストレージサービスです。面倒な移行作業を必要とせず、業務に支障をきたすことなく既存データを移行できます。
高水準のセキュリティ対策が大きな特徴です。暗号化機能や共有リンク機能により、保存中・通信中のデータを強力に保護しています。
組織全体で使い勝手の良さを体感できるよう、全操作の可視化や制御が可能も魅力です。データの中央集中管理を実現しやすく、生産性と効率性の大幅な向上を見込めるでしょう。
fileforce (ファイルフォース) | 法人向けクラウドストレージ
無料でも利用できる『Google ドライブ』
あらゆるデータの保管に対応したクラウドファイルストレージです。同じGoogleアカウントで接続すれば、異なる端末からでもアクセスできます。
ファイルの保存・閲覧・共有をはじめ、ドキュメントやフォルダの作成・編集、資料のスキャンや保存なども実行可能です。
Google ドライブ自体は無料で利用できますが、有料のビジネス向けパッケージ「Google Workspace」(旧G Suite)を導入すれば、ストレージの機能をより有効活用できます。
Google Workspaceは、Microsoft Officeと連携やセキュリティ強化が可能な点がメリットです。
仕事や個人で使えるクラウド ストレージ – Google ドライブ
まとめ
クラウドファイルストレージとは、ネット上にファイル単位でデータを保管できるサービスです。大容量の保存に対応しやすさや、バックアップを取りやすさなどの、さまざまなメリットがあります。
サービスを選ぶ際は、容量・セキュリティ・費用を事前にきちんと確認し、自社のデータ管理をより快適にするサービスを選びましょう。