ストレージ容量の段階的な追加が可能で機器の運用も不要、インターネット環境さえあれば利用できるクラウドストレージは、プライベート利用、法人利用を問わず多くのサービスラインナップがあります。 この記事では、特に法人向けの容量無制限のクラウドストレージとユーザー数無制限のクラウドストレージについて、それぞれのメリット・デメリットを比較し紹介しています。自社の導入の目的に応じたサービスの選定にお役立てください。
クラウドストレージとは
クラウドストレージはクラウドファイルサーバーやオンラインストレージとも呼ばれ、インターネット環境で利用可能な保存領域・データストレージのことを指します。 クラウドストレージでファイルを保存(アップロード)することで、企業の社内ネットワーク環境が無い社外でも、必要な時にアクセスすることができます。また、社内外の関係者とデータの共有をする用途でも活用されています。 クラウドストレージの中には無料サービスもありますが、法人が業務で利用する場合には、機能やセキュリティ面を考慮して有料サービスを利用することをおすすめします。
オンラインストレージとの違い
クラウドストレージとオンラインストレージは、しばしば同じ意味で使われることがあります。これらの用語は、どちらもインターネットを介してファイルを保存し、共有することが可能なデジタルデータの保存領域を指します。この点において、両者の間に違いはないと言ってよいでしょう。
しかしながら、「クラウド」という用語が広義に使われる場合、これはインターネットを通じて利用できるサービスを総称する言葉として用いられます。この広い意味での「クラウド」には、クラウドストレージの他にも、オンラインで利用できるソフトウェア、プラットフォーム、インフラストラクチャなど、多岐にわたるサービスが含まれます。
したがって、クラウドストレージとオンラインストレージは、この広範なクラウドサービスの一種として位置づけられるのです。
容量無制限とユーザー数無制限クラウドストレージの比較ポイント
クラウドストレージの選定時に、企業が考慮したいポイントは主に以下の点です。
1.料金体系
多くのクラウドストレージは、ストレージ容量に応じたサービス価格、またはユーザー1人あたりのサービス価格が設定されています。 容量無制限のクラウドストレージの場合は、ユーザー1人当たりの価格設定がされていることが一般的です。一方で、ユーザー数無制限のクラウドストレージは、一定のストレージ容量に応じてサービス価格が設定されており、ユーザ―数が増えても支払いは定額となります。
2.セキュリティ対策
データのセキュリティは、クラウドストレージを選択する際に最も重視すべき要素の一つです。サイバー攻撃の頻度と悪質性が高まる中、クラウドサービスのセキュリティ対策の充実度は、サービス選択の決定的な要因となります。以下のようなセキュリティー対策が行われているかについては確認しておきましょう。- 通信の暗号化:SSL/TLSといった通信手段を用い、通信を暗号化することにより、データが外部に漏れることなく安全に転送されることを保証します。
- 多要素認証:パスワード認証を行った後に、別の方法での認証を求めることで、不正アクセスのリスクを軽減し、アカウントのセキュリティを強化します。
- ログ監視機能:管理者が履歴などを確認することができる機能で、不審な動きやセキュリティインシデントの早期発見が可能となります。
3.ストレージ容量
ユーザーまたは契約企業ごとに利用できるストレージ容量がどれだけあるかです。現状でユーザーまたは企業がどれだけのファイルを保存しているか、どれだけずつファイルが増えているかなどの傾向から必要量の想定をします。
4.アクセス権限設定
ファイルやフォルダなどのデータに対して、誰がどのような方法でアクセスできるかを制御する設定機能です。アクセス権限を細かく柔軟に設定することで、必要なユーザーだけに必要な権限を与えることができ、情報漏えいのリスクを低減することができます。
5.単一ファイルのアップロード容量上限
クラウドストレージにファイルをアップロードする際のデータ容量の上限値です。どのクラウドサービスも仕様として、一度にアップロードできるファイルのデータ容量があらかじめ定められています。
6.バージョン履歴保存
ファイルのバージョンとは、ファイルの変更履歴のことです。クラウドストレージでは、このファイル履歴を自動保存されることが一般的です。更新履歴を確認したり、過去のバージョンに巻き戻すといった活用が可能です。
7.無料トライアルの有無
無料トライアルは、自社にとって最適なクラウドストレージサービスを選択するための機会となります。無料トライアル期間中にサービスの機能やユーザーインターフェースを実際に使用してみることで、そのサービスが自分や組織のニーズに合っているかを判断することができます。検討しているクラウドストレージサービスが無料トライアルを提供している場合には、まずはお試しで利用してみることをお勧めします。
容量無制限のクラウドストレージとは?
容量無制限のクラウドストレージの場合、ユーザーは必要なだけデータを保存することができ、ファイルの容量を気にしたリ、ストレージ容量の不足に悩まされることもありません。 法人向けのクラウドストレージとして、BOXや、DropBOXといったサービスは、容量無制限のクラウドストレージとして活用されています。
容量無制限クラウドストレージのメリットとデメリット
クラウドストレージが容量無制限の場合に、どのようなメリットがあるか見てみましょう。
メリット
1.大量のデータを保存できる
容量無制限のクラウドストレージを利用することで、大量のデータを際限なく保存することができます。これにより、複数のデバイスからアクセスしたり、大容量のファイルを保存することができます。
2.ストレージ管理が不要になる
容量無制限のクラウドストレージを利用することで、容量ひっ迫によるデータの削除や整理が不要になり、ユーザーは自分のデバイス上でストレージ容量を気にする必要がなくなります。
デメリット
容量無制限のクラウドストレージも、メリットばかりではありません。たとえば以下のようなデメリットがあります。
1.必要なファイルが探しにくい
ユーザーはファイルの重要度に関わらずストレージ容量を気にすることなくクラウドストレージに保存することが可能です。ただし、ファイルの管理が不十分な場合、データが散在するだけでなく、不要なファイルや重複ファイルが増えたりし、結果として必要なファイルが必要な時に探せずに生産性が低下してしまう恐れがあります。
2.ユーザー単価が高額
容量無制限のクラウドストレージサービスは、実際に利用するストレージ容量に比してユーザー単価が高額となるケースもあります。 たとえばユーザーや業務の内容によっては、容量無制限は過剰となりますが、とはいえ全社でファイル共有をしたい場合にはユーザー登録が必要になり利用料が発生します。特に、数十人、数百人でクラウドストレージを利用する際は注意が必要です。
ユーザー数無制限のクラウドストレージとは?
同じ「無制限」でも、ユーザー数が無制限のクラウドストレージサービスの特長も紹介します。 ユーザー数に無制限のクラウドストレージサービスは一般的に、ストレージの容量に応じた料金プランが用意されています。クラウドサービスなので、契約当初には必要最低限のストレージ容量で使い始め、容量の不足が懸念されたときに段階的に容量拡張が可能な点も特長の一つです。
ユーザー数無制限クラウドストレージのメリットとデメリット
メリット
1.ユーザー数にとらわれずに固定料金でファイル共有や保存が可能
グループ会社の社員や取引先関係者も費用をかけずにユーザー登録でき、企業のセキュリティポリシーに基づく安全なファイル共有が可能です。 業種や業態によっては、ファイル共有をするユーザーの増減が頻繁なケースもありますが、そういった場合でもユーザー数無制限のクラウドストレージであれば、シンプルな固定利用料で柔軟な活用が可能です。また、ユーザーが増えるほど1人あたりの利用料を下げた運用が実現します。
2.企業内で効率的なストレージ容量配分が可能
ユーザーの使い方や業務によっては、多くのストレージ容量が不要のケースもあります。 ユーザー数無制限のクラウドストレージは、「容量シェア」が一般的のため、ユーザ毎のストレージ使用量のばらつきも考慮する必要が無くリーズナブルに利用可能です。
デメリット
1.ストレージ容量が不足する可能性
ユーザー数無制限のクラウドストレージでは、当然ながらストレージ容量がひっ迫する可能性があります。 ただ、クラウドサービスなのでストレージ容量の追加は容易にできることと、保管は必要だが常時利用する業務ファイルではない場合は、アーカイブ用の安価なストレージを用意しておくといった回避もできるでしょう。
2.最適なアクセス権限設定が必要不可欠
ユーザ―数無制限のため、慎重に検討することなくユーザーを増やしてしまう恐れもあります。その場合に注意が必要になるのは、最適なアクセス権限設定が行われているかどうかです。 企業の中でも特に機密性の高いファイルは、特定のユーザーしかアクセスできないフォルダに保存するといった要件が必ずあります。ユーザ数無制限のクラウドストレージサービスの中でも、権限設定の機能を確認する必要があるでしょう。
【比較】ユーザー数無制限と容量無制限のクラウドストレージどちらを選ぶべきか
どのような使い方・業態であれば、どちらのタイプのクラウドストレージがマッチするか、比較して紹介しています。自社の利用目的に応じたサービス選定の参考にしてみてください。
容量無制限のクラウドストレージが効果的なケース
- 利用人数:固定。または頻繁な増減はない
- 必要ストレージ容量:とにかく大容量を希望
- 使い方:動画コンテンツや解像度の高い写真データを大量に保存し、共有したり編集したりする。また、ユーザーごとの利用ストレージ容量に大きな差は無く、コスト相応のファイル保存を常時行う。
ユーザー数無制限のクラウドストレージが効果的なケース
- 利用人数:増減あり。また自社内に限らずグループ会社や協力会社のユーザも利用する
- 必要ストレージ容量:おおよそ明確。また、不足時に段階的な拡張ができればよい。
- 使い方:Officeファイルなど、動画や写真等に比べてデータ容量が小さいファイルが大半を占める。また、多くのファイルを保管・管理し続けるよりもむしろ、必要なファイルは整理し利活用しやすいフォルダ構成で利用していきたい。
容量無制限のクラウドストレージを選ぶ際の注意点
容量無制限のクラウドストレージを選ぶ際には、いくつかの重要な注意点があります。以下の注意点に気をつけることで、後悔のないサービス選択が可能となります。
容量無制限になる条件を確認する
「容量無制限」という言葉に惹かれがちですが、実際にそのサービスが本当に無制限であるか、またどのような条件下で無制限になるのかを確認することが重要です。一部のクラウドストレージサービスでは、無制限プランであっても、アクティブユーザー数に応じて追加料金が発生することもあります。さらに、”フェアユースポリシー”と称して、実質的に使用できるデータ量に制限を設けている場合もあります。こういった条件が設けられていないかを、必ず事前に確認しておきましょう。
使用する目的を明確にする
クラウドストレージを選択する際には、使用する目的を明確にすることが非常に重要です。例えば、写真や動画などのメディアファイルを主に保存する場合、高速なアップロードとダウンロード速度が求められます。一方で、ビジネス用途でドキュメントの共有やコラボレーションが主な目的であれば、編集ツールの統合やアクセス権限の詳細な設定が可能なサービスが適しています。また、個人情報や機密情報を扱う場合は、セキュリティ機能の充実度を重視する必要があります。目的に応じて最適なサービスを選択することで、クラウドストレージを最大限に活用することができます。
ユーザー数無制限で使えるクラウドストレージ
事業の拡大により従業員の数が増加し、それに伴いデータ共有のニーズが高まる中、ユーザー数無制限で利用できるクラウドストレージは、企業にとって非常に魅力的なソリューションとなります。以下では、ユーザー数無制限で利用できるクラウドストレージサービスを紹介します。
Fileforce
Fileforceは、企業向けに特化したクラウドストレージサービスで、ユーザー数無制限での利用が可能です。このサービスは、セキュリティと利便性を兼ね備えており、大量のデータを安全に管理することができます。また、Fileforceは、ファイル共有、バージョン管理、アクセス権限の設定など、ビジネスに必要な機能を幅広く提供しています。さらに、高度なセキュリティ対策により、企業の重要な情報を守ります。
料金・容量:
Unlimited-1 55,000円/月、1TB
Unlimited-3 98,000円/月、3TB
Unlimited-10 198,000円/月、10TB
Unlimited-30 330,000円/月、30TB
セキュリティ:
アクセス権限管理、ログ管理、情報漏えい対策
使えるファイル箱
「使えるファイル箱」は、シンプルで使いやすいインターフェースが特徴のクラウドストレージサービスです。ユーザー数無制限で利用できるため、小規模なスタートアップから大企業まで、あらゆる規模のビジネスに適しています。また、シンプルな操作でファイルのアップロードやダウンロード、共有が簡単に行えるため、チーム内のコミュニケーションをスムーズにします。さらに、使えるファイル箱は、コストパフォーマンスに優れており、ビジネスの成長に合わせて柔軟に対応できる点も魅力の一つです。
料金・容量:スタンダード 19300円/月、1TB
アドバンス 55,000円/月、3TB
セキュリティ:暗号化、2要素認証
※本記事に記載している会社名やサービス名は、各社の商標または登録商標です。
Xserverドライブ
Xserverドライブは、高性能なサーバーを背景に持つクラウドストレージサービスで、特にウェブサイト運営者や開発者に人気があります。ユーザー数無制限での利用が可能であり、大量のウェブコンテンツやデータベースを安全に保管できます。また、Xserverドライブは、高速なデータアクセスと安定した運用が可能であり、ビジネスの要求に応じた柔軟なデータ管理を実現します。
料金・容量:スモールビジネス 2,079円~、HDD1TBかSSD500GBを選択
ビジネス 4,158円から、HDD2TBかSSD1TBを選択
ビジネスプラス 8,316円~、HDD4TBかSSD2TBを選択
エンタープライズ 69300円~ SSD5TB
セキュリティ:暗号化、2段階認証、アクセス制限
※本記事に記載している会社名やサービス名は、各社の商標または登録商標です。
クラウドストレージFileforceの資料をダウンロードする。
まとめ
これまで、容量無制限のクラウドストレージについて、そのメリットや選択時の比較ポイント、そして留意すべき注意事項について詳細に解説してまいりました。また、実際に市場で提供されている様々なサービスについても、それぞれの特徴を紹介してきました。
デジタル化の波が加速する現代社会において、ビジネスの成長と発展を支えるためには、データを効率的かつ安全に管理することが不可欠です。
本記事で紹介した各サービスの特徴や、選択に際して考慮すべきポイントを参考にして、皆様のビジネスに最適なクラウドストレージ選びにお役立ていただければ幸いです。