テレワークで社員の様子が分からず、業務の進捗確認や若いメンバーの指導がしづらいと感じる管理職が増えています。部下との信頼関係を築くには、いきなり過度な成果主義を導入したり、度を超えた監視を避ける必要があります。管理職が注意すべきポイントや、おすすめのマネジメント研修を紹介します。
管理職が気を付けたいテレワークの問題
コロナウイルス拡大の影響によりテレワークを導入する企業が増えています。新しい働き方に戸惑う社員がいる一方で、管理側も社員の業務管理に当たって、何を注意すればよいか分からない人が少なくありません。管理職が気を付けるべきテレワークの問題としては、次の2点が挙げられます。
- 過度な成果主義に陥ってしまう
- 部下の業務を監視してしまう
テレワークは社員の実際の働きぶりを確認できないため、仕事の過程を評価せずに成果主義に陥ってしまう管理職が増えています。加えて、部下が仕事をさぼっていないか心配になるあまり、過度に監視をしてしまう場合もあります。
どちらも部下からの信頼を失ってしまう要因となるため、注意が必要です。以下で詳しく解説します。
評価制度の整備が必要
テレワークは各々の社員がオフィス以外の場所で柔軟に働けるのが特徴です。とはいえ管理職からすれば細かい仕事の過程が把握しづらく、評価の基準が最終的な仕事の成果のみになってしまう傾向があります。
社員の立場からすれば、チームメンバーへの貢献や新人への指導といった成果に直接的にはつながらない仕事も公平に評価してほしいと感じるでしょう。テレワークでは社員のそういった目に見えづらい貢献が、ますます把握しづらくなっているのが現状です。そのため、テレワークに適した評価制度の整備を行い、社員の仕事の過程も正しく評価するための工夫が必要となります。公正な評価を下すことができれば、社員の怠慢や不満、離職の防止につながります。
度を超えた監視によるテレハラに注意
リクルートマネジメントソリューションズが2020年3月に行った「テレワーク緊急実態調査」によると、約600人の管理職のうち、半数以上が「部下が仕事をさぼっていないか心配である」と回答しています。
部下の自己管理能力の向上を期待する一方で、部下のテレワーク中の仕事ぶりが気になる管理職が多いようです。しかし、最近では管理職による度を超えた監視はテレワーク中のパワハラ(通称テレハラ)とみなされる可能性があります。
勤務中は常にウェブ会議ツールにつないでおくように命令したり、カメラや電話越しに部下を威圧したりといった行為はテレハラとなるので注意しましょう。こういった監視型のマネジメントは社員の生産性を逆に下げてしまいかねません。
社員との信頼関係を構築するために
テレワークを通じて社員との信頼関係を構築するには、上記の問題に気を付けることに加え、部下に自己管理を促しつつ、必要に応じて適切なケアを行うことも重要です。以下で詳しく説明します。
部下の自己管理、上司からのケアの両方が大切
テレワークにおける管理職の役割は、組織全体の目標からチームの目標を策定し、テレワークに従事している部下個人の目標との橋渡しをすることです。社員と目標の共有をすることで自己管理を促すことが重要であり、そのためには信頼関係が欠かせません。
特にテレワークの場合、どうしてもチャットやカメラ越しの映像でコミュニケーションを取らざるを得ないため、部下のモチベーションやメンタル面のケアは工夫が必要です。「自分にもやれる」という自己達成感を持ってもらうために、管理職として何をすべきかを考えましょう。
本質的な問題を解決する研修セミナーを探す
テレワークは既存の業務管理手法が通用しない場面も多くあります。部下との信頼関係を壊す監視型マネジメントを避けつつ、部下の自己管理を促すマネジメントスキルを身に着けるには、テレワークに対応した管理職向けの研修セミナーに参加するのがおすすめです。
特に、一般的なマネジメントの内容ではなく、目標設定やルール作り、傾聴の仕方など、自社の状況に見合った具体的な問題解決法を学べる研修を選択しましょう。最近では自社のテレワークの状況に合わせて、演習内容をカスタマイズしてくれるセミナーもあるようです。
管理職向け研修セミナーを開催する企業
では、テレワークに対応した管理職向けの研修セミナーの開催企業をいくつか紹介します。
法人対象のオンライン研修を拡大「パーソル総合研究所」
パーソル総合研究所はウィズコロナ時代に対応するため、これまで法人を対象に行ってきた研修事業を拡大し、サブスクリプション(継続課金)型のオンライン研修サービスを2020年の5月から提供しています。
たとえば、6月には「テレワークマネジメントで成功させる1on1」や「テレワークマネジメントで成功させるチームビルディング」といった研修が開かれており、今後も管理職向けのテレワーク対応セミナーが開催される可能性があるので、関心があれば問い合わせをしてみるのをおすすめします。
映像や笑いもプラン化「アデコ」
総合人材サービスのアデコは人事・労務の管理者向けに「テレワーク環境下のマネジメントと評価制度」と題したオンラインセミナーを20年12月に開催しており、1月には「テレワーク環境下のヘルスケアマネジメント」を開催しました。
さらに、松竹芸能と人材プロデュースやインターネットメディア事業などを手掛けるリブリッジとの3社合同で、リモートワークに従事している社員を教育するための企業研修「笑育」(わらいく)も提供しています。現役のお笑い芸人を講師に迎え、心理的安全性の高いチーム作りが学べるユニークな内容となっているようです。
基礎から総合的に研修「リクルートマネジメントスクール」
リクルートマネジメントスクールも管理者向けのオンラインマネジメント研修を多数開催しています。
マネジメントの原理原則を学ぶ基礎研修をはじめとして、部下とのコミュニケーション力を強化するための「1on1」の進め方など、さまざまな種類を選べるようです。また、オフィスや自宅から1名でも参加できるオンラインでの異業種交流型の研修も提供しています。
まとめ
テレワークで管理職が部下の業務管理で気を付けるべき点と、社員との信頼関係を構築するためのポイント、そして「1on1」など管理職が身に着けるべきスキルを習得できるマネジメント研修について紹介しました。
部下の仕事ぶりの評価が難しいテレワークにおいて、管理職は一人ひとりの社員の自己管理を促すとともに、双方が納得できる公正な評価基準を設定する必要があります。部下の適切なモチベーション管理をするためにも、自社の状況に合ったマネジメント手法を確立しましょう。
新しいマネジメントスキルを身に着けるために、管理職向けの研修を受けるのも有効です。研修を選ぶ際には、使い回しのような一般的な内容を避け、自社に合った研修かどうかを確認するようにしてください。