テレワークを導入するにあたっては、さまざまなICTツール(以下ツール)を用意することが求められます。その中で、コストを抑えるために無料で使えるツールを模索している方もいるでしょう。この記事では、無料で利用できるおすすめツールを紹介します。テレワークの本格導入前にこのような無料ツールで自社のポリシーや運用との相性を確認してみるのもよいでしょう。
テレワークツールの種類と無料版の有無
テレワークを導入するに当たって欠かせないのが、テレワークに使うツールの選定です。テレワークでは、勤怠管理やビジネスチャットなど、さまざまなツールが必要になります。
どのようなツールが必要になるのか、まずはツールの種類を把握しましょう。
テレワークに必要なツールの種類
テレワークに必要なツールには以下のようなものがあります。
- ビジネスチャットツール
- 勤怠管理ツール
- Web会議ツール
- ファイル管理ツール
テレワークは、これまでオフラインで行ってきた勤怠管理やコミュニケーションを、オンライン環境で行う必要があります。そのために、コミュニケーションとしてビジネスチャットやWeb会議を行うツールは必須です。
オンラインでの勤怠管理、情報共有のためのファイル管理も欠かせないため、これらのツールは一式そろえておくようにすると良いでしょう。
無料で使えるビジネスチャットツール
ビジネスチャットツールを利用している企業は増えています。従来は、社内外での連絡にメールを使用するのが主流でしたが、宛先やタイトルの設定、いちいちメールフォルダを開く手間などがあり、また添付できるデータの量がそれほど大きくはないという問題もありました。
ビジネスチャットツールでは、これらの点が解消されたことも大きく、オフラインで利用する企業も増えています。テレワークでも、ビジネスチャットを用いて円滑なコミュニケーションをとることが可能です。
そんなビジネスチャットツールの中でも無料で使えるツールとしておすすめなのが『ChatWork』です。
タスク管理がしやすい『ChatWork』
ChatWorkは無料からも利用できます。通常のビジネスチャットはもちろん、タスク管理やビデオ通話を行うことも可能です。
UIも使いやすく、コンタクトやチャットの整理もしやすいので複数の人間と同時にやりとりをするのも得意です。
導入企業数は29万社を超えており、社内はもちろん、取引先や顧客とのやりとりにも利用できます。
有料版でセキュリティ強化
ChatWorkは無料でも使いやすいですが、有料プランも用意されています。
有料プランの場合、共有ストレージの容量増加、広告の非表示、グループチャット数無制限になります。一番高いエンタープライズプランでは、セキュリティが大幅に強化されます。
社外ユーザーの利用制限や専用URL機能、モバイル端末の利用制限により、社外の人間のアサインや、情報漏洩を防止できます。エンタープライズプランでも1ユーザーあたり月800円(年間契約)と低コストなので、セキュリティが心配な場合はこちらのプラン導入を検討すると良いでしょう。
無料で使えるWeb会議ツール
Web会議ツールとは、会議をオンライン上で行うために必要なツールです。1対1や少人数会議から、規模が大きくなると100人以上、更には数万人を集めた会議を行うことが可能です。
会議スペースを設ける必要がないため、テレワーク以外にもよく利用されています。
Web会議ツールの中でもシェアが高い『Zoom』の特徴について紹介します。
テレビ会議ツール『Zoom』
パソコンやスマホ上で、参加者が同じ場所にいなくても会議が開けます。それだけではなく、会議のために必要な機能を多く備えているのもZoomの特徴です。
同じ資料や動画を共有する機能や、フリーハンドでメモなどをその場で書けるホワイトボード機能、議事録を作るための録音・録画機能があります。
また、開催時間をカレンダーと連携してリマインドしたり、ビジネスチャットと共有して使うことも可能です。仕事中のテレワークはもちろんですが、オンライン飲み会の開催などにも、Zoomは利用されています。
有料版はウェビナーや大規模な会議向き
Zoomは無料でも使うことができますが、有料版の場合の場合、より便利な機能がいくつも利用可能になります。まずは人数の増加です。会議に参加できる人数を1000人にまで増やせます。
また無料版では3人以上で利用すると時間制限がありますが、有料版ではありません。ホストアカウントの複数設定が可能になったり、録音をクラウド上に保存する機能などが追加されます。
そのため、少人数会議のみでなく、ウェビナーや全社会議にも利用することが可能です。
無料で使える勤怠管理ツール
テレワークの場合、社員が業務に従事している時間の把握が困難になります。社員の自己申告では正確な時間が計れませんし、虚偽の報告があがってくる可能性もあります。
法律に抵触しないために、長時間労働には厳密な管理が必要です。こうした問題をクリアして、勤怠管理を場所にかかわらず行えるのが、勤怠管理ツールです。
勤怠管理ツールを無料利用する上でおすすめなのが『IEYASU』です。
勤怠状況をリアルタイムで確認『IEYASU』
『IEYASU』は、1000社以上の人事・労務のサポート経験からのノウハウを活かした高精度のツールで、評価も高いです。勤怠管理に必要なさまざまな機能を無料利用できます。
タイムカードの打刻はもちろん、休日の申請、日報作成の機能などが使えます。特にタイムカードの打刻は、社員証や交通系ICカードをかざすだけで申請ができます。
そのほか、勤怠のレポート機能やCSVへの出力機能もあり、データとして記録することも簡単です。
データを1年以上保存できる有料版
有料版には、より便利な機能が追加されます。有料版は各種プランがありますが、各種制限なしで999人まで使える「エンタープライズMプラン」で年間一括払い59万8000円となっています。
有料版では、有給休暇の自動付与、メールサポート機能などでより管理が楽になります。
残業時間を把握して、残業時間が規程を超えるとアラートを鳴らす機能なども利用可能です。
データの保存期間はフリープランの場合は1年ですが、有料版の場合は制限がなくなります。人件費の集計や帳簿作成などにも役立つでしょう。
無料で使えるファイル管理ツール
テレワークでは、オンラインでファイルの保存ができるストレージが必要になります。
社外から共有ファイルへのアクセス、新システムやVPN環境の導入など、オンラインでファイル管理を行うためのツールが、ファイル管理ツールです。
ファイル管理ツールにもさまざまな種類がありますが、その中でも『Fileforce』について、紹介します。
無料トライアルがお得な『Fileforce』
Fileforceはビジネスパーソン向けのファイル管理ツールです。クラウド上にデータを保管する際に、ローカルファイルと同じ感覚で操作ができます。
無駄な同期を行わないため、ネットワーク帯域への負荷も低く、オフラインでの利用も可能です。オフィスアプリの利用も、社内にいるときと同じように行えます。
無料トライアルも、FileforceのWebサイトから申し込むことができます。トライアルアカウントで、本番と同じ機能を使うことが可能です。トライアルに申し込む際には丁寧なヒアリングも行ってくれます。
セキュリティ重視
オンラインでファイルを共有する際に、気になるのはやはりセキュリティです。セキュリティの低いツールでは、情報漏洩や不正アクセスが心配になります。Fileforceはセキュリティの強さにも定評があるツールです。
全ての通信は自動で暗号化され、さらには端末上に表示されるキャッシュも暗号化されます。フォルダ単位で利用者を承認することができるので、第三者の不正アクセスのリスクも低減させられます。
アクセス、ファイルを共有・編集したログは全て保存され、誰がいつ使ったかが分かるようになります。セキュリティリスクを極限まで抑えられるツールと言えるでしょう。
テレワーク導入コストを抑えるポイント
様々なICTツールの無料プランや無料期間を利用して、テレワーク導入初期のコストを抑える方法を述べてきましたが、それ以外にテレワークの導入コストを抑えようと思った際には、どのような方法があるのでしょうか。全社で実践できるポイントを解説します。
助成金を利用する
新型コロナウイルスの影響もあり、政府ではテレワークの導入を積極的に推奨しています。テレワークでは政府の助成金を利用して、コストを抑えることも可能です。
政府の各省庁が展開している助成金の主なものは次の通りです。
• 厚生労働省|働き方改革推進支援助成金(2020年12月20日現在、募集停止中)
• 総務省|テレワークマネージャー相談事業
• 経済産業省|IT導入補助金
それ以外に、都道府県や市町村などの自治体がテレワーク助成金を実施している例もありますので、事業所がある自治体が助成金制度を実施しているか調べてみると良いでしょう。
ノー残業デーを増やす
テレワークの場合でも、企業は社員の残業時間を管理する義務があります。テレワークでも残業代は支払わなければなりません。
テレワークを導入することで生じる問題の一つが、社員の業務効率がダウンする可能性です。上司や同僚がいない場所ではモチベーションが低下し、作業効率が落ちた結果、残業が増えるということにつながる可能性があるのです。
こうした問題を解消するために、ノー残業デーを増やすというのは有効です。コストを抑えることはもちろん、達成率から社員の作業負荷などを推し量る材料にもなります。
オフィスを縮小する
テレワークの場合、社員の作業スペースが不要となります。そのため、オフィスの大きさは出社ベースの頃よりも小さくて良いということになります。オフィスを縮小することで、土地代や管理費を下げることを検討しましょう。
また、テレワークが浸透した場合には、社員が通いやすいために交通の要所や首都圏にオフィスを構える必要もなくなります。もっと土地代の安いところに引っ越すなども、あわせて考えると良いでしょう。
まとめ
テレワークを行う際にはツールが必要になりますが、複数のツールを利用するとどうしてもコストが発生します。テレワーク導入初期のコストを抑えるためには、無料ツールを利用して自社の運用にフィットする働き方の形態を探ってみるのは有効です。
無料ツールは有料版より機能は制限されますが、テレワークの規模や業務内容によっては、無料版で対応できる可能性も十分あります。
また、オフィスの縮小や助成金の利用などで、テレワークで発生するコストを削減する施策も合わせて実施していきましょう。