運用コストは従来の3分の1に。ストレージSaaS移行でセキュリティ強化も同時に実現
株式会社日宣(以下、日宣)は、広告・マーケティング事業を幅広く手掛け、特にケーブルテレビ局向け番組情報誌の提供で圧倒的なシェアを持つ企業です。
これまではホスティング型のIaaSストレージを運用していましたが、ハードウェアの老朽化や、OS・ミドルウェアのEOLおよびバージョンアップの課題が表面化しリプレースを検討。インフラ費用や運用コストのみならず、セキュリティ対策においても様々な課題を解決するサービスとしてSaaSストレージのFileforceを導入しました。
日宣の社内SEとしてインフラ・サービス・端末の管理からセキュリティ施策の実施、事業部門を含めたDX推進などを担当する、情報システム部の駒澤氏と上久保氏に導入の経緯を伺いました。
背景・課題
ファイル授受において表面化した数々の課題――本当にこのセキュリティ対策のままでよいのか
全国に広がる百数十ものケーブルテレビ局と取引をする日宣では、これまでホスティング型のIaaSストレージにてデータファイルの授受を行ってきました。
稼働開始から7年ほどが経過しており、当時のベンダーからのリプレース提案を検討するうえで大きな課題となったのは、物理サーバーの老朽化やOS保守の懸念、利用していたオープンソースのバージョンアップです。
「リプレースの見積もりを取ってみると、非常に大きな費用が必要と判明したんです。これまで利用してきたオープンソースも、バージョンアップに伴い料金体系が変更になるとのこと。従来はユーザ数によらない料金プランでしたが、今後はユーザ単位の課金に変更になることが判明しました。
新プランに既存のユーザ数約800アカウントを当てはめて試算すると、300万円前後となり、同じ運用を続けるために追加の費用がかかってしまう。それならば……と、別の選択肢を模索することになりました」(駒澤氏)
課題はコストだけではありませんでした。特に、セキュリティ対策が不安だったといいます。
「これまでは、サービス以外のレイヤーにインターネットから接続可能な状態でした。これは、システム部門としてセキュリティ的に避けたい状況です。
加えて、オープンソースを動かすためのPHPモジュールのサポート期間が終了していました。機密情報をやり取りする万全なインフラであるはずが、すでにサポートができないような環境といえる。そういったものを稼働するのはリスクが高すぎます。
当然、長らく検討はしていたものの、よい代替サービスに出会えていませんでした。リプレースのタイミングで改めて情報収集をして、ようやくFileforceを見つけたのです」(駒澤氏)
選定・導入
慣れ親しんだ既存環境の運用を維持し、コストは約3分の1へ
1ヶ月間のトライアル利用を経てFileforceの導入に至った日宣。他社サービスも含めた情報収集の段階で、「仕様・機能的に日宣の理想をすべて満たすものはFileforceのみだった」と駒澤氏はいいます。
「当社の要望は多岐に渡っていました。まず、ユーザ数無制限で低コストであること。続いて、従来の1TBのストレージ容量と同等のスペックで、なおかつ機能的にも互換性があることです。Fileforceはいずれをも実現するものでした。
また、導入実績も豊富でユーザの信頼を得て長くサービスを提供している点も安心感がありました。
費用に至っては、サーバーのホスティングや保守委託費、回線などが削減できることで、3分の1程度になり…本当に、安すぎるぐらいです」(駒澤氏)
「拡張性の高さも気にしていました。特に最近は、データ容量がどんどん大きくなってきています。サーバー導入時に想定していた容量では足りず、拡張しなければならないケースも増えていますが、追加費用がかかるうえに拡張できないケースもあります。その点、SaaSの拡張性は魅力ですね」(上久保氏)
「オンプレ環境をリプレースして継続する場合は、同じシステム・機能であっても費用や時間、リソースもかかってしまいます。新しく機能を追加することは容易ではなく、セキュリティ対策も自社でやりきるのは限界があります。
本来情報システム部は、社内のサービスをいかに最適化して、事業を展開しやすくするかの視点が必要と考えています。
その点、Fileforceであれば”ランサムウェア”や”電子帳簿保存”などへの対策も、サービス側で実装されていくのはありがたいですね」(駒澤氏)
導入後の効果
本番環境の構築はわずか1週間。他事業部への横展開も視野に運用を開始
Fileforceのトライアル申し込みから社内の運用開始まで約3ヵ月。トライアル期間中も、すべての機能を利用できたことから、ユーザ作成や運用管理の手順確認、セキュリティやポリシーの設定まで、必要なところはすべて作り込み、社内に説明するためのマニュアルも同時並行で作成していったといいます。
「本番環境の構築期間も、1週間程度です。これはFileforceのインターフェースや仕組みが導入側から見て非常に分かりやすく、マニュアルがなくても利用できたからです。さすが日本向けのサービスだな、と感心しました」(駒澤氏)
もうひとつ、実際に使用するなかで実感したメリットがあるともいいます。
「ファイルフォース社の対応ですね。技術的に深い質問にもレスポンスが良かったので、トラブル時も安心だろうと考えています。また、当社で使わない機能には可能な範囲でマスクをかけるといった対応もありました。非常に親身で柔軟、これに尽きます」(駒澤氏)
日宣では現在、番組情報誌(以下、ガイド誌)を全国のケーブルテレビ局向けに配送する業務において、Fileforceの外部ユーザとして専用アカウントを発行し、安全なファイル共有を行っています。また、Windowsのネットワークドライブで利用できるFileforceだからこそ、従来からの運用も継続できているといいます。
「当社でモジュールを開発して、FileforceDriveの機能を使った”データの自動削除”を行っています。ガイド誌は毎月号が変わっていくので月1回のペースでデータの入れ替えが発生します。月末や月初に古いデータを自動的に削除し、常に最新のデータだけが保存されている状態にしています。これによってデータの増大やミスプリントなどを防げるようにしています」(駒澤氏)
ケーブルテレビ局のガイド誌事業以外にも、さまざまなビジネスを展開する日宣。
「マーケティング事業として、飲食業界や住宅業界のパンフレット・配布物などの企画制作も行っています。今後はそういったものも含め全社的に、社外とデータのやりとりが発生する業務すべてでFileforceを活用するのが理想です」(駒澤氏)
本事例のポイント
- 課題
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- 物理ストレージの老朽化
- 旧環境のコストアップ
- システム上のセキュリティリスク
- 選定理由
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- 従来のストレージ機能と互換性が高い
- ユーザ数無制限で利用できる
- 豊富な導入実績とベンダー対応の安心感
- 効果
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- 運用コストが3分の1に圧縮
- セキュリティ面で安心してファイル共有ができる
- 自社の業務に合うストレージ運用ができる
※本記事の内容は取材時(2024年2月)の情報です。