情シス兼務でも無理なく運用できるクラウドへ移行、スムーズな情報活用でお客様サービスも向上
株式会社エグロ(以下、エグロ)は、長野県に本社を置き、全国5拠点で精密小型CNC工作機械の開発・製造・販売・機械自動化を手掛ける企業です。1937年の創業以来、「常にお客様のために」という理念のもと、他社では対応が難しいとされる問題にも果敢に挑戦し、解決してきた実績があります。こうした姿勢と高度な技術力が、多くのお客様から信頼を得る基盤となっています。
エグロでは長年、オンプレミスのファイルサーバを使用してきましたが、セキュリティの向上や業務効率のさらなる改善を目指し、「Fileforce」を導入しました。
このたび、エグロのシステム管理を担当する金原氏に、「Fileforce」導入の背景や、その効果についてお話を伺いました。
情シス兼務でのファイルサーバ運用に限界
エグロでは、これまでオンプレミスのファイルサーバでデータ管理を行っていました。しかし、この環境には多くの課題があったと金原氏は話します。
「当社では、全てのデータを本社のファイルサーバで管理していました。営業所や部門ごとにフォルダを分け、アクセス制限をかけていました。各拠点の社員は必要に応じてサーバにアクセスしてデータを利用していましたが、これは、各拠点内でしか行えませんでした。」
各拠点からは本社のサーバにアクセスできるものの、外出先からはアクセスできない状態だったといいます。
「外部からは特定の社員のみが特別にWi-Fiルーターを利用してファイルサーバにアクセスできる状況でした。それ以外の社員が外出先から必要な情報を閲覧するには、メールにファイルを添付してやり取りするしかなかったのです。」
また、生産管理部の課長職と兼任しながら社内のIT管理全般を行っている金原氏の負担も大きかったといいます。
「以前は生産管理部の課長としての業務を兼任していたため、システムに問題が発生すると、生産管理業務を一時中断せざるを得ず、どちらかの業務に支障が出てしまうことがありました。他には、オンプレミス環境でのバックアップが本当に安全かどうか、常に不安がある中で運用をしてきていました。幸い、これまでデータ消失などのトラブルはなかったのですが、不安要素の一つでした。 運用にかかるコストと管理面でも課題があったといいます。
「コスト面では、Windowsサーバのライセンス費用が問題でした。年に数回しかファイルサーバを利用しない社員にもクライアントライセンス購入が必要なためコストとライセンス管理が発生します。そこを何とか削減したいという思いでした。」
変わらない操作感と理想的なアクセス制御が決め手!
エグロでは、かねてよりメールはクラウドで利用していましたが、その他の基幹システム・情報システムについては様々な考慮のもとでオンプレミスの運用を継続していました。ですが常にクラウド移行の可能性を模索していたと金原氏は言います。
「オンプレミスのままでは運用に限界があると感じていました。セキュリティやバックアップに関するリスクを解消するために、ちょうど保守期限も迫っていたファイルサーバから、クラウドへの移行を決断しました。」
他社製品との比較で、Fileforceを選択した理由は、使いやすさと柔軟なアクセス制限だと金原氏は話します。
「他にも数社と比較しましたが、最も重視したのは、現状とあまり変わらない操作感で、社員が使いやすいことでした。新しい仕組みを導入する際、使い勝手が大きく変わると、スムーズな移行が難しくなると考えていたためです。また、クラウド移行時に現在のフォルダ階層構造をそのまま移行したい想いがあり、Fileforceならそれが可能だと分かりました。上位階層にあるフォルダへのアクセス権限は絞りながら、下位階層の一部のフォルダは全社で共有するといった運用のためにアクセス権限の設定にかなりの労力がかかっていましたが、Fileforceではピンポイントで簡単に特定のフォルダだけにアクセス制限設定ができることが非常に魅力的でした。あとは、ファイルの表示速度も速くてタイムラグがない点も高評価でした。」
Fileforceを導入するにあたって、社員に対して「大きく変わらないよ」と安心感を持ってもらうことが重要な課題だったとのことです。従業員がクラウドに対して抱く不安や懸念を和らげるために、いかにして新しいシステムが今までのシステムと同様に使えるかを説明することに注力したと金原氏は語ります。
「クラウドストレージというと、従業員が『なんなのこれ、どこにつながっているの?』と不安を感じることがありました。そのため、技術的な説明というよりも、概念的な部分を簡潔に伝え、『大丈夫、従来と変わらない』という安心感を持ってもらうことに力を入れました。」
導入にあたっては、2TB以上のデータを移行する必要があり、その過程で業務に影響を与えないように配慮しながら進める必要があったとのことです。
「どの部署からどの順番でデータを移行するか、業務に与える影響を最小限に抑えるための優先順位をつけることが大変でした。部署ごとにデータの重要性や使用頻度が異なるため、綿密な計画を立てて段階的に移行を進めました。導入当初から、社内メールなどで、『こういうサービスを導入しました』、『こんな質問がありましたが、こうすれば解決します』といった情報を定期的に発信することで、自然と新しいシステムに慣れてもらえるように工夫しました。」
情報活用でお客様へのサービス向上。
運用も部署毎に最適化へ
Fileforceを導入したことで、社外で情報活用がスムーズになり、業務効率が大幅に向上したといいます。
「お話しした通り、以前は一部の社員を除いて、外出先から社内データにアクセスすることができませんでした。しかし、Fileforceを導入したことで、インターネットに接続できる環境があれば、すべての社員がどこからでもデータにアクセスできるようになりました。出張先のホテルやお客様を訪問しているときでも、必要な資料をすぐに確認して業務を進めることができるようになったのは、営業部門やサービスエンジニアにとって非常に大きなメリットです。」
エグロならではの業務における効率化と効果についても次のように実感しています。
「私たちのお客様は、20年、30年と長期間にわたって当社の機械を使用してくださることが多いんです。そうした長期使用の機械のメンテナンスや修理には、古い資料が必要になることがあります。その際に、以前は拠点の技術者がかなり苦労して資料を探し出して、現地のサービスエンジニアにメールを送るといった方法しかありませんでした。ですがFileforceを使えば、現地のサービスエンジニアが必要なときに自ら資料を探せるので、対応が非常にスムーズになりました。また、サービスエンジニアのスケジュールなども、Fileforce上で一元管理することで各自で把握しやすくなったので、お客様へのサービス向上にも繋がっていると感じています。」
情報活用以外にも、Fileforceの多彩な機能には価値を感じているといいます。
「ランサムウェア対策などのセキュリティ機能が充実していることも大きな安心材料です。以前は外付けのセキュリティサービスをいくつも導入する必要がありましたが、ファイルフォースではこれを一つのプラットフォームで賄えるので、非常に助かります。タスクフロー機能(機能URLリンク:https://www.fileforce.jp/taskflow)は、業務の効率化に非常に有用だと考えているので今後も社内周知を続けて徐々に利用を促進していきたいと考えています。」
さらに、エグロでは各部署にFileforceの管理担当を配置してより効率的な運用が可能になったとのことです。
「導入後、各部署にシステム運用の窓口となる担当者を配置し、彼らが管理者としてアクセス権限を変更できるようにしました。これにより、私自身の負担もかなり軽減されました。」
最後に、今後導入を検討する他社へ、このように金原氏は話します。
「データ移行の前には、しっかりとデータの棚卸しを行うことをおすすめします。どのデータが移行可能で、どのデータが移行に適さないかを事前に把握しておかないと、導入後に予期せぬ問題が発生することがあります。
ただ、ファイルフォースのサポートチームは本当に親身にアドバイスしてくれましたし、非常に心強かったので、声を大にして言いたいですね。サポート体制がしっかりとしていることは、Fileforceを選んで良かったと思える大きなポイントと言えます。」
本事例のポイント
- 課題
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- 外出中の営業やサービスマンが社内の資料にアクセスできない
- IT管理者の業務負担が大きい
- セキュリティやデータバックアップの不安がある
- 選定理由
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- ユーザの操作感が従来と変わらない
- 従来のフォルダ階層の維持と柔軟なアクセス制御が可能
- ファイル表示が速くて、タイムラグがない
- 効果
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- どこからでもデータにアクセス可能で情報共有が円滑になった
- セキュリティが強化され、不安が解消された
- システム管理の負担が軽減した
※本記事の内容は取材時(2024年7月)の情報です。