ユーザ数無制限で理想のストレージ運用へ―社内外のファイル共有をセキュアなクラウドストレージで実現
コールセンター事業、ダイレクトクラウドマーケティング事業、BPOを中心にビジネスを展開する株式会社ダイレクトマーケティングミックス(以下、ダイレクトクラウドマーケティングミックス)は、ホールディングス本社を含めグループ全体で8つの拠点を持ち、各拠点で多岐にわたる業務を展開しています。各拠点では、NASサーバによるデータ管理を行っています。今回は、ホールディングス本社でクラウドストレージへの移行を決定され、Fileforceのご導入にいたりました。
このたび、グループ会社を含めた全社の情報システムと社内のインフラを担当する若林氏と三田村氏にお話を伺いました。
ストレージ増設や障害対応、アクセス権限設定の課題
ホールディングス本社・グループ会社を含む8拠点で運用するNASのうち、まずはホールディングス本社のNASのクラウドストレージによるリプレースが進められる事となります。
それまでNASの運用をする中で、業務の稼働人数やデータ量が増加するにつれ、サーバの容量が不足するという課題を抱えていたと若林氏は話します。
「NASでデータを管理していましたが、データ量が増えるにつれて容量が不足し、機器を増設する必要がありました。そのたびに設定やデータの移動が煩雑になるため、2021年末頃からクラウドへの移行を検討し始めました。」
また、物理的なNASの運用についても、煩雑さやリスクがあったと話します。
「物理的なNASは自社で管理していましたが、定期的なリプレース作業やデータ移行の負荷があります。またバックアップは取っていましたが、故障時にはデータの復旧に2〜3日かかることがありました。また、利用者増加に伴い負荷がかかり、NAS自体がハングアップして再起動が必要になることもあり、データ紛失のリスクが常に存在していました。」
NASの運用以外にもいくつかの課題を抱えていたといいます。
「コーポレート部門には社外取締役もいるため、データ共有には社内ネットワークへのアクセスが必要でした。しかし、オンプレミス環境では社外からのアクセスのためにVPNを提供しなければならず、これがセキュリティと運用の課題となっていました。」
さらに、NASの閲覧権限設定にもこのような課題がありました。
「第一階層のアクセス権限を設定すると、その下の階層にも同じ権限が適用されるため、特定の情報だけを共有したい場合には対応が難しかったのです。見せたいデータだけを切り出して、新たに第一階層に連携用の共有フォルダを作成するという方法を取っていましたが、これでは第一階層が増えすぎてしまうという問題がありました。
例えば具体的には、共有したいデータが部門の低階層にあると、共有のために第一階層のアクセス権限が必要となり、その部門の全情報が見えてしまうリスクがありました。これを解決するために、情報共有用のフォルダを最上位階層に作成する対策を取っていました。その結果、フォルダの第一階層にフォルダが増えていくという状況になってしまいました。」(若林氏)
容量課金かつ、共有ストレージとして運用が変わらない点を評価
クラウドストレージを導入することを決定し検討を進める中で、共有ストレージに誰をアクセスさせるかを設定できる、まさにNASのような運用ができるFileforceにたどりついたと若林氏は話します。
「クラウドストレージサービスはいろいろあると思っているのですが、多くのサービスは個人アカウントに紐づいて管理するものでした。個人アカウント紐づきのサービスだと、フォルダやファイルのオーナーが個人に紐づく概念で設計されていることが多いんです。従来のNASのように、会社として共有してみんなでデータを管理できるサービスもあるはず、と情報収集をしていました。NSAのように個人にアクセス権を割り振るという考え方の方が、私たちにとっては管理しやすいと感じていたからです。」
今後のグループ会社への展開を踏まえ、業務特性に則したサービスであるかといった考慮もされたと言います。
「今後私たちが運営するコールセンター事業の展開を見据えると、利用頻度が低い従業員もふくめて全員が利用できる状態にしておく必要があります。そのため、ユーザごとの課金は避けたかったのです。Fileforceに決めた大きなポイントですね。」
Fileforceへの移行に関して伺うと、若林氏はこう話します。
「オンプレミスからクラウドへのデータ移行には少し時間がかかりました。従来のNASの運用上、第一階層のフォルダが多数存在していたため、一度に全てを移行することはできず、段階的に移行を進める必要がありました。ファイルフォースから提供される移行ツールを使用させていただいたのですが、準備を含めて2〜3週間ほどで移行は完了しました。ファイルフォースのサポートチームとコミュニケーションをとりながら運用ルールなども決定し、スムーズに運用できていますよ。」
ユーザにクラウドを意識させず、
管理負荷の軽減とセキュリティ向上を両立
「これまで使用してきたNASと運用方法が変わらず、もうFileforceを導入して3年になりますが、NASと使い勝手が同じゆえに、未だにクラウドに移行したことを認識していない人がいるくらいですね」と、三田村氏はその効果について話します。
若林氏は、Fileforceの導入により物理的な機器の管理が不要になったことがとても大きいといいます。
「私たち管理者側からすると、物理機器の管理が不要になったことは非常に大きなメリットです。バックアップの確認も不要になり、停電時の対応や機器の故障リスクを気にしなくて済むようになったのは大きいですね。社外取締役やグループ会社間でファイルのやり取りをする際に、共有リンクを発行するだけでデータを簡単に共有できるようになったので助かります。」
活用している機能の用途についてもお話しいただけました。
「共有リンクは、外部とのデータをやり取りする際に使用しています。また、社内ネットワークに繋がっていない端末にツールをインストールしたい場合に、共有リンクを経由しています。あとは、ユーザが誤ってフォルダを移動してしまった場合でも、ログを確認して元に戻せるので非常に便利です。セキュリティ面でも、アクセス権限を厳密に管理できるようになったことは大きな進歩です。」
最後に、これからFileforceへの移行を検討している企業へ向けて、若林氏はこのように話します。
「容量課金であることと、アクセス権限を細かく設定できる点がポイントですね。特にコールセンター業界のようにユーザ単位での管理が難しい業界にはおすすめできます。また、ユーザ単位の課金がないため、コストの予測がしやすく、安定した運用ができるという点もありますね。」
本事例のポイント
- 課題
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- NASの管理が煩雑であった
- データ共有にセキュリティリスクが存在していた
- バックアップとデータ復旧に時間がかかっていた
- 選定理由
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- ユーザ単位の課金では無く容量課金であること
- アクセス権設定が柔軟に行えること
- 運用方法が変わらずスムーズな移行が可能
- 効果
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- 物理的なNAS管理が不要になり工数削減
- 安全かつ簡単に社外とのデータ共有が実現
- アクセス権設定を厳密に行えるためセキュリティ面でも安心
※本記事の内容は取材時(2024年7月)の情報です。